1冊10分で読める本の要約

2017.10.26

不安や悩みを打破したいならカーネギー『道は開ける』を読んでみよう

20171026 summary

著者デール・カーネギー 著/東条 健一 訳

ページ数302ページ

出版社新潮社

定価1470円(税込)

出版日2014年02月21日

Book Review

カーネギーの著書のなかでも双璧をなす『人を動かす』と『道は開ける』。『人を動かす』は、人から好かれたり、人を変えるためには、まず己の言動や考え方を改めることが出発点となることを述べた一冊であった。すなわち、自分が変わることで、他人の行動を変えることができるということだ。
本書『道は開ける』も同様に、自分が変わることを出発点とした問題解決を目指している。但し、本書で取扱うのは周囲の人間ではなく、不安や悩みという自身の感情だ。自分の行動を変えることで、不安や悩みを軽減させたり、なくしてしまおうというのである。
このように書くと、そもそも自分を変えることができないから悩んでいるのだ、と思う方もいらっしゃるかもしれない。確かに、悩みに真摯に向き合うこと、そして悩みをなくすために行動することなく、「道を開く」ことはできない。
だが、原著が刊行されてから70年近くもベストセラーになっている理由を考えてみていただきたい。それは、本書が本当の意味で不安解消のツールとして有効だからではないか。本書で紹介されているのは、実際に心の問題の克服に成功した処方箋ばかりなのだ。その効力たるや、インターネット上に溢れる体験談を読んでいただければ十二分に実感できるはずだ。
また、本書は『道は開ける』の原著のなかから重要な部分を選んで見やすいレイアウトに再編集されている新訳版であり、一度カーネギーの著作に挫折した人にもぜひ読んでいただきたい一冊である。
あなたがこの本を読んで不安や悩みを取り去り、幸せな生活を送れたら、これに勝る喜びはない。

要約本文

この本を読む前に

9つの約束

デール・カーネギーの歴史的名作である『道は開ける』。本書はアメリカで見つかった初版本から、重要な部分をセレクトして再編集した新訳版である。7章構成になっていて、不安や悩みを消すための24個のMaxims(格言)が紹介されている。ハイライトでは、その格言のなかからいくつかを選び紹介していきたい。
また、本書にはこの7章に入る前に、「この本を最大限に活用するために不可欠なこと」として「9つの約束」が記載されている。不安や悩みを克服するという強い決意を持つこと、何度も読み返すこと、読むだけでなく「行動」すること、などがそれに当たる。
ハイライトを読んだことをきっかけに本書を手に取る方は特に、この決意と実践を忘れずに本書とともに悩みと向き合っていただきたい。

不安と悩みが消えない人へ

昨日のことは忘れよう。明日のことに思い悩むな。

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本書で最初に紹介されている言葉がこの言葉だ。
1871年の春、ウィリアム・オスラーという医学生が試験に悩み、将来に悩み、進路に悩み、開業手段を心配し、この先食べていけるのか不安になっていた。
だが彼は、後にジョンズ・ホプキンス医科大学を設立し、大英帝国での医師の最高名誉オックスフォード大学欽定医学教授にして、ナイト叙勲者となった。彼はトーマス・カーライルの「遠くのはっきり見えないものを見るな。目の前の明白なことをやれ」という言葉によって、人生から不安を取り除くことができたのだという。
サー・ウィリアムの成功の秘訣は、「今日だけを見て生きる」ことだった。明日の準備をする必要がないというわけではない。今日やるべきことにすべての知性と情熱を注ぐこと、それが明日に備える最高の方法である。
イエス・キリストも「明日のことを思いわずらうな」と説いている。明日のことを周到に考え、計画し、準備することは構わない。だが、思いわずらうことはない。
本書では、「明日のことを思いわずらうな」というイエスの言葉と、「今日だけを見て生きる」というサー・ウィリアムの言葉を心に留めておくだけで、神経や精神疾患の患者の多くは幸せで充実した生活を送れるはずだ、と述べている。
古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスは弟子たちに「すべては変化する。誰も同じ川に、二度と足を踏み入れることはできない」と言った。人が足を踏み入れようとする間に、皮の流れは刻々と変化する。人生もまた、絶え間なく変化する。唯一確かなものは今日という日だけだ。今日生きる楽しさを、なぜ未来の問題を解決しようとして台無しにするのだろうか。未来は不確実で絶え間なく変化しており、見ることも予知することもできないというのに。

最悪の状態を受け入れたとき奇跡が始まる。

困った状況を、確実かつ、あっという間に解決するテクニックとして、本書で紹介されているのが、カーネギーがエアコンの発明者ウィルス・キャリア氏から聞いたという「最悪の状態を受け入れる」というものだ。キャリア氏は、若い時に仕事で2万ドルの損失を招いてしまったが、悩まずに問題に対処する方法を考えた。そのときに使ったテクニックは、次の3のステップで行われた。
ステップ① 起こりうる最悪のことを考える
刑務所に入ったり、銃で撃たれたりすることはないだろう。自らの解任、導入するはずだった装置の回収、投資した2万ドルの損失、という可能性がある程度だ。まずはこうして最悪のことを考えるのだ。
ステップ② 最悪のことを受け入れる
この失敗は自分の経歴にとって大打撃で、失業の可能性もある。だが、そうなったとしても違う仕事はある。会社としてもこの損失を研究費として処理すればいい。最悪のことを想定し、受け入れれば、気持ちが楽になって安らぎを感じることができた。
ステップ③ 最悪のことを改善する
2万ドルの損失を減らす方法を考えたところ、さらに5千ドルかけて設備を追加すれば問題が解決できそうだった。その結果、1万ドルの損失を回避して1万5千ドルの利益を得ることができたのだという。
不安なままでいたら何もできなかっただろう、とキャリア氏は振り返る。不安でいることの最も悪い一面は、集中力が削がれてしまうことだ。最悪のことさえ受け入れてしまえば、もはや失うものは何もなく、問題に集中できる状態になるのである。

自分を壊さないために

行動は不安を消去する。

カーネギーの講座に在籍していたある男性の家庭では、一度ならず二度までも悲惨な出来事が起きた。心から愛していた5歳になる娘が亡くなってしまったのに続いて、10カ月後に生まれたもう一人の女の子も、生後5日目に亡くなってしまったのだ。
あまりに耐えがたい二度の死別に、男性は完全に打ちのめされ、自信を失ってしまった。病院に通い、睡眠薬を飲んだり、旅行に行ったりしてみたが、どれも効果がなかった。悲しみからくる緊張によって、身体が締め付けられるような感覚を味わっていた。
そんな男性を救ったのはもう一人の子供、4歳の息子だった。ある日の午後、沈んだ気持ちで座っていると、息子がボートを作ってほしいとせがんできたのだ。男性は何もしたくなかったが、息子は粘り強く、結局作ってあげることにしたという。
おもちゃのボートを作るのには3時間かかった。そのとき男性は、この数カ月で初めてリラックスできて、落ち着いた気持ちになれたのだと気付く。無気力を脱した気分になり、少しはものを考えられるようになったのだ。
男性は、忙しくしていよう、と強く決心した。家中を歩き回ってやるべきことのリストを作り、そのリストは242項目にも上ったそうだ。リストをこなすのには2年間を要したという。
忙しくするという単純なことで、なぜ心配事が消え去るのだろうか。それは、心理学によって明らかになった最も基本的な法則の一つである「どんなに頭脳明晰な人でも、人間は一度に『一つ』しか思考できない」という法則に基づいている。感情もこれと同じで、一つの感情は、他の感情を追い出すのだ。不安の治療法は、何か前向きなことに完全に集中することなのである。

心配や不安は的中しないことのほうが多い。

カーネギーは少年時代、心配ばかりしていたそうだ。落雷で死ぬのではないか、不景気で飢えるのではないか、死んだら地獄に行くのではないか、あるいは生きたまま埋葬されるのではないかと。
年月がたち、カーネギーは自分が心配していたことの99パーセントは、結局起きなかったことに気が付き始めた。落雷で死ぬ確率は35万分の1以下だし、生きながら埋葬される人は1000万人に1人もいないだろう。むしろ心配すべきは8人に1人が死ぬ癌の方だと言える。
ここに挙げたのは子供っぽい心配の話だ。だが、大人でも同じくらいにばかげたことで心配する。それが心配に値することかどうか統計的に理解して、くよくよ思い悩むのをやめれば、あなたも今すぐに心配や不安の9割が消えるだろう。
アメリカ海軍は、石油タンカーに兵士を配属したとき、士気を高めるために統計を利用した。魚雷が当たって爆発するのではと不安がる兵士に対して、魚雷を受けた100隻のタンカーのうち60隻は沈没していないこと、沈没した40隻のうち、10分以内に沈没したのはたった5隻だったことを示した。乗組員はこの数字によって、実際に気が晴れたと語っている。

幸せになるための科学的方法

人に感謝を期待すると不幸になる。

カーネギーがテキサスで会ったビジネスマンは、11カ月前のことに未だに怒っていた。彼は34人の従業員に、クリスマスのボーナスに総額で1万ドル用意した。だが、誰も感謝しなかった。「残念だよ」彼は苦々しく言った。「1ペニーだってやるんじゃなかったね!」
彼は従業員をこき使っていたのかもしれないし、従業員の性格が悪かったのかもしれないが、そもそも彼は人間の本質を理解していなかった。人は生まれながらにして感謝を忘れる生き物だ。他人に感謝を期待すると、苦痛が増えるのである。
カーネギーの知人でニューヨークに住む女性は、いつも孤独を訴えていた。親族が誰も彼女に近づかないからである。彼女は延々と自分が姪の世話をしてやったと話すため、親族は彼女を嫌厭しているのだ。
彼女が欲しいのは愛と注目である。だが彼女は感謝の気持ちも愛も得られないだろう。愛されることを切望しても、この世界で愛される唯一の方法は、人に愛を強要しないことだからである。幸せになる秘訣とは、他人に感謝されるためではなく、自分の「与える喜び」のために、他人に尽くすことだ。

あなたにはロックフェラーを超える財産がある。

カーネギーの講義のマネジャーをしていたハロルド・アボットは、10秒もかからない出来事によって、それまでの10年を超える学びを得て、すべての不安が消えたという。
食料品店の経営に失敗した彼は、貯金を失っただけでなく、返済には7年もかかる借金もあった。銀行で当面の金を借りようと、とぼとぼと歩いていたとき、両足のない男がやってくるのが見えた。彼はローラースケートの車輪をつけた小さな木の台に座り、握った木の角材を使って前進していた。
両足のない男の目が合ったとき、その男は素晴らしい笑顔で挨拶してくれたのだという。「おはようございます。良い朝ですね」。元気よくそう言ってくれた足のない男を見たとき、アボットは自分がどんなに恵まれていたかがわかった。自分には足が2本あって歩くこともできる。
私たちが所有する豊かな富を考えれば、お金がなくてもいつも陽気でいられる。あなたは両目を1000億円で売る気はあるだろうか? いくらなら両足と交換するだろう? 体の一部ではなく、子どもや家族ならどうだろうか? あなたが持つ財産を合計すれば、それがロックフェラー家とフォード家とモルガン家の財産のすべてを差し出されても、渡したくないほど価値があるものだということがわかるだろう。
私たちは、すでに持っているもののことは滅多に考えず、いつも、持っていないもののことを考えてしまうのだ。

一読の勧め

本書は「史上最高の人生改革の書」とも言われるカーネギーの『道は開ける』の新訳版だ。重要な部分を選んで見やすいレイアウトに再編集されており、一度カーネギーの著作に挫折した人にもぜひ読んでいただきたい一冊である。ハイライトではその中でも印象的な部分を紹介しているが、本書にはカーネギーの金言がまだまだたくさん記されている。この歴史的名著をぜひ手元においていただきたい。

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著者紹介

  • D・カーネギー

    1888‐1955。アメリカ・ミズーリ州に生れる。セールスマンなどの仕事を経て、YMCAの夜間学校で「話し方」についての講座を持つ。講座用のテキストとして書いた『人を動かす』(1963年)や、『道は開ける』(1948年)が世界的ベストセラーになり、今も売れ続けている。

  • flier

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