1冊10分で読める本の要約

2017.02.17

「グローバルエリートは見た! 」の著者がビジネスパーソンに送る“一流になれる”働き方の指南書『最強の働き方』

20170217 summary

著者ムーギー・キム

ページ数376ページ

出版社東洋経済新報社

定価1,728円(税込)

出版日2016年07月27日

Book Review

あなたは、「仕事のIQ」を意識したことがあるだろうか?仕事のIQとは、一流の仕事ができるかどうかを示す指標である。一流大学を卒業して一流企業に入っても、何も結果を残せない人がいる。このような人は勉強で好成績を残すIQは高かったとしても、仕事のIQは低いと言っていいかもしれない。この2つは違う種類の能力なのだ。
では、仕事のIQを高めるために何をすべきなのか? その問いに答えるのが、本書である。人気コラムニストであり、「グローバルエリート」として名を馳せる著者のムーギー・キム氏。本書は、一流の仕事の本質を突き詰め、具体的な行動指針に落とし込むことを目的として、彼が2年半の歳月をかけて書き下ろした入魂の一冊だ。著者が重要だと考える77ヶ条の教訓を、それぞれ「基本」「自己管理」「心構え(マインドセット)」「リーダーシップ」「自己実現」にカテゴライズして、具体例とともに解説している。話し方や書き方、健康・メンタル管理、企業家精神の発揮の仕方、部下の育成など、テーマは多岐にわたる。
本書は、一部のエリート向けに書かれたものではない。業界問わず、一流のビジネスパーソンをめざす、すべての人にとって役に立つ、非常に汎用性が高い教訓ばかりだ。世界の名だたるプロフェッショナルによる教えが、これほど網羅的にわかりやすく紹介された本はなかなかないだろう。本書を開くことで、プロフェッショナルへの第一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

要約本文

一流は基本に忠実

一流はピラミッド構造でメモを書く

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一流のプロフェッショナルは、どんなに高速でメモをとっていても、内容を理論整然としたピラミッド構造にまとめている。彼らは相手の伝えたい本質をすぐさま理解し、情報を引き出す道具としてメモを活用する。たとえば、論理的な説明を求められるコンサルタントは、物事を整理する能力が高いため、構造化したメモ書きを得意とする人が多い。
また、構造化されたメモは、そのままミーティングメモやパワーポイントのスライドに転換できる。こうして、メモ書きしているミーティングの時間を有効活用できるのだ。とくに若い頃は、会議などで議事録を任せられることも多い。そのため、メモの論理性を高めることで、チームの生産性向上に一役買えるはずだ。

人格は声に出やすい

声には「人格」が表れやすい。成功している人の多くは、良い声で発言する。彼らは早口になることなく、落ち着いて自信満々に、いわゆる「一流のトーン」で話している。
声は自信や威厳、正直さなどの情報を相手に伝える。そのため、ビジネススクールやリーダーシップの授業では、発声練習が取り入れられている。
一流のトーンで話すには、腹式呼吸をマスターして、腹の底から太い声を出すことが大事だ。また、自分の声を客観的にチェックすることで、洗練された声になっていく。さらには、胸を張り、背筋を伸ばし、開放的なボディランゲージを意識することで、プレゼンテーションのクオリティもますます高く評価されるようになるだろう。

一流の自己管理

「心のストレス引当金」で冷静に対処する

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結果に結びつかない指示をしてくる上司や、仕事のできない部下の管理など、私たちは日々ストレスにさらされている。人間関係のストレスを軽減するには、「心のストレス引当金」を積むことが必要だ。
引当金とは何か。貸倒引当金を例にすると、顧客に1万円を貸して、そのうち2000円は返ってこないと考え、損失処理をすることを指す。そして、実際に8000円しか返ってこなくても、その損失の覚悟ができているので、損失は発生しないものと考える。
引当金の対象をストレスにまで広げれば、もし不愉快な出来事に遭遇しても、その場をやり過ごせるようになるだろう。なぜなら、「上司の指示の3割は意味がない」などと、不快な出来事を事前に想定できているからだ。
自分でコントロールできない理不尽な現実社会と折り合いをつける方法を備えておくことは重要だ。また、非日常の趣味を持ち、自分の関心や欲求を満たすことも、仕事の生産性に大いに影響を及ぼすことを心に留めておきたい。

他人の土俵でも相撲がとれる、幅広い教養を

プロフェッショナルは、自分の専門分野以外でも鋭い洞察を有している。会話や議論で幅広いテーマに対して鋭い見識を披露できる。一方で、自分の専門分野以外の話にはついていけない人もいる。この差は、思考力やコミュニケーション能力といった、頭脳のOS部分の違いによるものである。一流のプロフェッショナルをめざすなら、幅広い教養を身につけ、品性を磨かなければならない。
著者の尊敬する金融業界の大物は、「他人の土俵で相撲をとれるようになれ」と言ったという。専門分野だけを突き詰めていると、視野が狭くなってしまう。真の教養人は、たとえ他人の守備範囲に関して知識がなくとも、関心と敬意を示す品格を持っているといえる。

一流のマインドセット

長期的な視点で大きな利益をめざす

一流の人は、やりたい仕事を見つけて、自ら提案し、主体的に動いていく。面白い仕事を発掘する力の有無が仕事の勝敗を分けるといってよい。
一流には、今起きていることに反応するだけではなく、将来起こりうる事態を見据えて先手を打つマインドセットが求められる。ある巨大投資会社の幹部は、会社経営者の腕前を評価するとき、その人がリアクティブかどうかに着目するという。リアクティブな人とは、何かが発生してから対応策を考える人を指す。これでは後手に回ってしまい、リスク管理ができない。
一方、プロアクティブな人は、未来のシナリオを予想し、悪い状況が発生する前に先手を打つので、対策を講じることができる。先見の明があることは、この現実社会を生き抜くうえで大きな武器にもなりうる。物事を長期的に計画する思慮深さを発揮し、長期的な利益を優先して先回りできていれば、目先の状況に対処するのに必死な人との差別化にもつながる。

寿司の代金は、寿司屋の哲学に払う

プロフェッショナルは「最高水準の仕事へのこだわり」を持ち、その対価としてお金をいただく。たとえば、老舗の寿司屋は特別な土鍋でシャリを炊き上げ、特別な赤酢を使う。こうしたこだわりは、効率性だけを追求していては生まれないだろう。こうして手間暇をかけている高級寿司屋にやってくる顧客は、「寿司の代金」ではなく、いわば「寿司屋の哲学」にお金を払っているのだ。
私たちは、こだわりのある寿司屋のように、「オリジナルの徹底したこだわりを持った仕事ができているか?」を自問しなければならない。一流の仕事をするために、どのような哲学を持ち、それによって顧客にどんな利益をもたらしているのかを、今一度考えてみよう。そうすれば、たとえライバルと同じ商品サービスだとしても、オリジナルの美学・哲学から生まれた「一流のこだわり」によって、高い評価を受ける可能性が高まるはずだ。

一流のリーダーシップ

誰に対しても傲慢な態度を取らない

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社会的地位の高い人ほど、誰にでも気さくに、そのうえ丁寧に接して相手を尊重する。たとえば、某巨大企業の創業者である長瀬氏は、父親から「運転手さんは家のことをすべてお見通しなので、運転手さんに尊敬される人にならなくてはいけない」と言われながら育った。この教えを実直に守っていた長瀬氏は、運転手から尊敬され続けていた。
ある日、長瀬氏を慕っていた運転手は、のちに長瀬氏のパートナーとなる人物を車に乗せたとき、長瀬氏がいかに素晴らしい人物なのかを語ったという。それが、長瀬氏が信頼に値する人物であるという評価につながった。
相手の社会的な地位によって接し方を変えてしまう人は少なくない。しかし、この例が示すように、一流のプロフェッショナルは誰に対しても敬意を払おうとするのだ。

部下をレベルアップさせる上司であれ

良いリーダーとは、部下のスキルアップや自己実現をサポートする人を指す。上司の立場にある人は、部下を一流のビジネスパーソンへと育て上げ、彼らの市場価値を上げることを目標とすべきだ。さもなければ、部下は「この人と一緒に働いても成長できる実感が得られない」と、上司を軽く扱うようになりかねない。
著者がはじめて入社した会社には、部下を奴隷のように扱う上司がいたそうだ。たとえば、夜中の2時に分厚い資料を著者に渡して、「朝までに仕上げてくれ」と言うなり帰ってしまう。そのうえ、雑用ばかり押し付けるという始末だった。こうした上司がはびこる会社は、部下の体力と精神力をすり減らすだけでなく、部下の成長の余地まで奪ってしまっているといえる。ましてや、部下がこのような上司を慕うことはまずないだろう。
ある会社のインド人幹部の言葉を借りれば、「この人の下で働けば、数年後には市場で引っ張りダコになる」と部下に思わせるくらいのサポート力が、上司には求められる。この力を発揮できるかどうかで、一流か二流かに分かれるのだ。

一流の自己実現

やりたいことを「ひとつだけ」にする必要はない

著者は、尊敬する上司から「好きなことを全部しろ」と言われたことが、人生の指針になっているという。その上司は、いつも同僚や部下に「何をやりたいのか?」と質問し、彼らのやりたいことが実現できるようサポートしていた。さらには、やってみたいことがあるなら、会社のプラットフォームを活用して全部挑戦すべきだと著者に薦めたという。
そもそも、やりたいことをひとつに絞ることは不自然だ。やりたいことに複数チャレンジする人生があってもよい。一流の仕事は、「何をやりたいのか?」を自問することからはじまる。自分が心からやりたいことでなければ、一流の道を歩むことは難しい。

自分の中にある強烈な原体験を思い出す

自分の人生の原点となる、いわゆる「原体験」の力は、働く上で強烈なエネルギーをかきたててくれる。原体験から生じるエネルギーに突き動かされた人物として、著者が尊敬している慎 泰俊氏がいる。彼は朝鮮学校に通いながら、ファイナンスを勉強するためにアルバイトをしながら早稲田大学に通っていた。
貧しい家で育った泰俊氏は、大学の入学金と授業料を払う余裕がなく、大学に必要な費用を入金しなければ、いよいよ入学資格を取り消されるという事態に陥ってしまった。そんなとき、家族のために一度も頭を下げたことのなかった泰俊氏の父親が、周囲に頼み込んで学費をかき集めてくれた。そして、「勉強して来い」と泰俊氏にお金を渡してくれたという。
彼は、その経験に大いに心を動かされ、感謝の念を覚えたと同時に、「人生を変える大切なお金に、必要なタイミングでアクセスできる金融を貧しい人にも広げたい」という思いがその後の原動力となった。それから彼は優秀なビジネスパーソンへと成長し、貧困にあえぐ国でマイクロファイナンスの事業を立ち上げた。
このように、強烈な原体験がある人は、ゆるぎない信念を持っているからこそ、周囲の応援を得ることができ、志を形に変えることができるのだ。

「グローバルエリートは見た! 」の著者がビジネスパーソンに送る“一流になれる”働き方の指南書『最強の働き方』この記事が気に入ったら
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著者紹介

  • ムーギー・キム

    1977年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA(経営学修士)取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、世界で最も長い歴史を誇る大手グローバル・コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、韓国・欧州・北欧・米国ほか、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より世界最大級の外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当したのち、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。 
    フランス、シンガポールおよび上海での生活を書き綴った、「東洋経済オンライン」での連載「グローバルエリートは見た!」は年間3000万PVを集める超人気コラムに。著書に、2冊ともベストセラーになった『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著、ダイヤモンド社)がある。

  • flier

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