コラム

2017.03.10

【後編】「キーマンであるオネエのマリアを描くために、
新宿二丁目にも通ったんですよ」(佐々木圭一×坪田信貴)

シリーズ97万部突破の大ベストセラー『伝え方が9割』の著者で、先ごろ発売された『まんがでわかる伝え方が9割』も好評の佐々木圭一さんと、映画も大ヒットした『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者であり、新刊『人間は9タイプ』も話題の坪田信貴さん。お二人の対談の「後編」では、『まんがでわかる~』の話に。

『伝え方が9割』には、読み手への優しさがあふれている

『伝え方が9割』には、読み手への優しさがあふれている

坪田 僕、佐々木さんのことを尊敬していて、敬愛していて、もう言葉があまり出てこないぐらい大好きなんです。で、なんでこんなに大好きなんだろう…といろいろ考えた時に、まず大前提としてすごく優しい方なんですよね。そして、『伝え方が9割』には佐々木さんの優しさがあふれている。

佐々木 ありがとうございます。

坪田 ちょっとした伝え方一つで能力を発揮できなかったりとか、人間関係がうまくいかなかったりする人や、いい商品やサービスを作っているのに伝え方がイマイチで魅力が伝わっていない企業などを、何とか手助けしたいと思われているんですよね。そして、その伝え方を皆が簡単に習得できるように体系化された。僕も本質的にそういうことを思い続けてきたので、「すばらしい。本当に勉強になる」と思っていたんです。

そして、『伝え方が9割』の印税の一部で、カンボジアの学校に図書館を贈るという活動をされていますよね。実は僕、それを参考にさせていただいていて。

『伝え方が9割』シリーズを読んでいただいた読者の印税で、カンボジアの小学校に図書室が完成しました。ありがとうございます。

佐々木 そうなんですか?

坪田 恵まれない環境にいる子どもたちに、よりさまざまな「言葉」を知ってもらおうという活動をされていて、さらにその輪を広げようと尽力されているのが、すばらしいなと思って。だから、映画『ビリギャル』の原作使用料に関しては、全額寄付しています。

佐々木 すごい!!

坪田 『ビリギャル』は、ある女子高生のサクセスストーリーであるとともに、家族の再生の物語でもあるのですが、一方でこの映画を見て傷つく人もいるんじゃないかと思ったんです。親がいない子ども、身寄りがない子どもも世の中にはたくさんいますから。そういう子どもたちに、「社会はあなたたちのことを、ちゃんと見ているよ」と伝えられたらと。…これは、佐々木さんから教えていただいたものです。

佐々木 いやいや…、でも嬉しいです。

坪田 以前の対談で、『伝え方が9割』は普遍的だから、世界中で売れますよという話をさせていただいたと思うのですが、それが現実化して、中国ですでに20万部売れているという。嬉しいのと同時に、「売れるのは当然だよな」って思いました。

佐々木 恐縮です。

文字を読むのが苦手な若者にも、まんがならば伝わる、共感できる

坪田 以前、佐々木さんにうちの塾講師の研修をしていただいたときに、「伝え方のポイント」をまとめた名刺サイズのカードをいただきましたよね?あれをうちの社員全員に持ってもらい、生徒とのやり取りなどで迷った時に見てもらうようにしているんです。研修の時も、「ある生徒にこういうことを言われてこう返したけれど、ほかにどういう言い方があり得たのか?」「サプライズ法やギャップ法を使ったらどういう伝え方になったのか」などと皆で話し合い、伝え方のトレーニングをしています。

佐々木 そうなんですか!嬉しいです。

坪田 その結果、明らかに講師たちが成長しているんですよ。それぞれの日報を読んでいてもその成長が分かるほど。伝え方を意識し始めて、指導したら、スタートして4ヵ月程度の模擬試験で、いきなり偏差値が30とか伸びているんです。とんでもないことですよね。これ、生徒の頑張りもそうなのですが、講師の成長が大いに寄与しているんです。以前、佐々木さんにやっていただいた研修と、その後のトレーニングが活きているんだと、本当に実感しています。改めて、『伝え方が9割』はぜひ教科書になってほしいと、真剣に思っています。

佐々木 もし実現できるなら、嬉しいです。

坪田 でも、今の若い子たちって、「文字を読もうとしない」んですよ。例えば、参考書を持って「関係代名詞がわからない」と質問しに来る子どもがいるんだけど、その本の中に関係代名詞の説明がちゃんと書いてあるんです。その部分を指さして、「これ、読んだ?」と聞くと「読んでいません」と言う。いや、読もうよ!と(笑)。先ほど、佐々木さんに僕の本を褒めていただきましたけれど、こんなに分厚いと読んでくれない。親や学校の先生の文句ばかり言っている子に、「君もちょっと言い方を変えてみたら?」と『伝え方が9割』を渡すんですけれど、やっぱり読まない(苦笑)。

佐々木 (笑)。

坪田 どうしたら読んでくれるのだろう…とずっと考えていたら、『まんがでわかる伝え方が9割』が発売されて、これなら読んでくれる!と嬉しくなりました。文字が読みづらい、本を読むのが嫌だという人たちの導入本として、本当に役立ちます。これで、さらに生徒に勧めやすくなります。

佐々木 ありがとうございます。この『まんがでわかる~』には、伝え方の技術はもちろん盛り込みましたが、それだけでは嫌だなと。読んで面白いと思ってほしいから、ストーリーにこだわりました。僕はまんがが大好きなので、読みながら「次のページも読みたい!」と思えるような、大きなストーリーから、小さなセリフの面白さを交えながら、大切に作りたいと思ったんですよね。

坪田 読ませていただいて、初めに思ったのは、「これ、連ドラ化するな」と(笑)。連ドラ化を意識して作られたのかと思ったぐらい、ストーリー性が高い。人間関係がうまくいかないというシーンはあらゆる関係性においてあると思うのですが、全てのコミュニケーションの基本が言語で行われている以上、「伝え方」を知ってそれらが解消されれば、おそらくGDPすら変わると思うんですよね。だから、このまんががドラマ化されたら、より多くの人が伝え方の大切さを認識できるんじゃないかな。

佐々木 そう言っていただけて、嬉しいです。

なぜカプレーゼではなく、プロシュートにしたのか?

坪田 まんがの主人公である、新米編集者の五十嵐舞ちゃんは、コミュニケーションで失敗して落ち込んだり、イライラしてしまったりする。でも、「伝え方の技術」を知ることで少しずつ成長していく。舞ちゃんがかわいくて魅力的なのもありますが、すべてのエピソードが多くの人にとって「あるある!」と共感できるものなので、自分自身を投影できて、物語に入り込めるんです。あと、先ほどおっしゃっていた「小ネタ」もいいですね。舞がみたらし団子好きなのも、単に好きという設定なのかと思ったら、最後までキーになっていたりするんですよね。こういう伏線がちょこちょこ盛り込まれているのも面白い。

佐々木 わ~、そこまで読み込んでいただけるなんて。

坪田 舞が彼氏・祐二君とイタリアンでデートするシーンがあるじゃないですか。でも、「祐二に染み付いたタバコの臭いがさっきから気になって、せっかくの料理が楽しめない」とイライラしてしまう。タバコを止めてもらうために、「チームワーク化」という技術を使って伝えよう…と舞が思いつくという重要なシーンですが、そんな中、この祐二さんは「このプロシュート食べていい?」とのんきに構えている。ここ、「なんでプロシュートにしたのかな」みたいなところが、僕は結構気になっています(笑)。

佐々木 実は、プロシュートにするかどうかで、けっこうディスカッションしました(笑)。

坪田 本当ですか!そこでディスカッション?(笑)

佐々木 初めはサラダだったんですが、シナリオライターさんと「このシーンはサラダじゃないだろう」という話になって、次にカプレーゼになったんですが、「カプレーゼっていっても、みんなわからないんじゃない?」と。だから「生ハムあたりがいいんじゃない?」と返したら、シナリオライターさんがプロシュートと書いてきて、なるほど、ちょうどいいなと。…この祐二君の一言のために、何度やり取りしたか。

坪田 なるほど~!すごいこだわりが感じられます!

佐々木 土江編集長に「ここまで時間をかけて作ったビジネス書まんがはないんじゃないか」と言われました。半分いやみだと思いますが(笑)。でも、ディテールに神が宿るから。

坪田 いやはや、さすがです!

主人公のエピソードをなぞることが、伝え方習得のワークになる

ビジネス書と呼んでいいのか、まんがと呼ぶべきなのかわからない。小説ともいえるし、テクニック集でも、あるいはワーク集と言ってもいいかもしれない。あらゆる要素が含まれている1冊だと思うので、これもまた世界で売れるんじゃないですかね?(笑)

坪田 あと、なかなか企画が通らないという舞に、謎のオネエ・マリアが「タイトル、適当につけていない?」と指摘して、舞に考えさせる。最終的に、舞が一生懸命、ぎりぎりまで考え抜いて「可愛い女の男パンツ」というタイトルを考え出すまでに、ギャップ法やリピート法といった「強いコトバを作る技術」を使いながら試行錯誤させる。読むだけで、伝え方の技術を習得する、一つのワークになっているんですよね。

佐々木 ありがとうございます。さっき坪田さんがおっしゃったように、ビジネス書だと読めない、読みたくないという人はいらっしゃると思うんです。だけど、まんがのように一つのストーリーになっていれば読んでもいいかという人は、けっこう多いんじゃないかと。読み進めるうちに、自然に伝え方の技術が理解できるよう、考えました。

坪田 このまんがが、舞の成長物語になっているところも素晴らしいと思います。『ビリギャル』もそうですが、あまりできなかった子が、くじけそうになりながらも人とかかわったり助けられたりしながら、一つずつ課題を乗り越えていき、最後は大団円を迎えるという。これを読んだ人は、間違いなく前向きになれるし、今自分が抱えている問題や課題も乗り越えようという力が湧くんじゃないかと思います。…だから、ビジネス書と呼んでいいのか、まんがと呼ぶべきなのかわからない。小説ともいえるし、テクニック集でも、あるいはワーク集と言ってもいいかもしれない。あらゆる要素が含まれている1冊だと思うので、これもまた世界で売れるんじゃないですかね?(笑)

佐々木 恐れ入ります(笑)。

坪田 話は変わりますが、今の子どもたちって「将来何がしたい?」と聞いても答えられないんですよ。これといった「夢」がない。そして、その事実について大人は「夢がないなんてけしからん」とか、「子どもに夢を持たせられない世の中が悪い」などと言いがちなのですが、実際はそうではなくて、子どもは社会に出たことがないから想像ができないだけなんですね。ロサンゼルスに行ったことがない人に、「ロサンゼルスのどこに行きたい?」と聞くようなもので。それを証拠に、幼稚園児と高校生の「なりたい職業ランキング」って、ほとんど同じなんです。

佐々木 そうなんですか!?

ちなみに、ストーリーのキーマンであるオネエのマリアを描くために、新宿二丁目にも通ったんですよ。

坪田 すなわち、職業観が幼稚園の頃から全く広がっていないということ。職業観を広げるために、学校では進路指導を行うのですが、つまらない進路指導を受けても社会に出た後のイメージなんてなかなか湧かない。その点、この『まんがでわかる伝え方が9割』を読めば、舞が成長していく姿から、編集の仕事の大変さ、面白さといった「リアル」がわかる。「私もこの編集者になりたい」と思う子って絶対増えるだろうなと思います。

佐々木 ありがとうございます。リアリティーを高めるために、かなり取材をしました。有名な雑誌の副編集長2人にじっくり話を伺って、オフレコの裏話も、内緒でいっぱい教えていただいて…。

坪田 ええ~!すごいですね!『まんがでわかる伝え方が9割』がすでに評判になっているのは、そうやって徹底して作り込んでいるからこそなんだろうなと、改めて学ばせていただきました。『伝え方が9割』をすでに買って読んだ人でも、「ああこれ、知っている」ではなくて、知っていることが2倍3倍に膨らんでいく感じ。より豊かな経験が得られる1冊だと思います。

佐々木 坪田さんにここまで言っていただけて恐縮だし、すごく嬉しいです!…ちなみに、ストーリーのキーマンであるオネエのマリアを描くために、新宿二丁目にも通ったんですよ。

坪田 ええ~!?本当に徹底的に準備されたのですね。う~ん、僕もここまでやらないとなぁ…ちょっと反省させられました(笑)。


出典:ダイヤモンド社 書籍オンライン Copyright © 2016 DIAMOND,Inc. All rights reserved.

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著者紹介

  • 坪田 信貴(つぼた・のぶたか)

    坪田 信貴(つぼた・のぶたか)

    坪田塾 塾長。これまでに1300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。「地頭が悪い子などいない。ただ、学習進度が遅れているだけ。なので、遅れた地点からやり直せば、低偏差値の子でも1~2年で有名大学、難関大学への合格は可能となる」という信念のもと、学生の学力の全体的な底上げを目指す。

  • 佐々木 圭一(ささき・けいいち)

    佐々木 圭一(ささき・けいいち)

    コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 新入社員時代、 もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書は その体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
    佐々木圭一公式サイト: www.ugokasu.co.jp
    www.facebook.com/k1countryfree
    Twitter: @keiichisasaki

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