コラム

2017.03.03

【前編】伝え方を意識すれば、性格も変えられるのか?!
(佐々木圭一×坪田信貴)

シリーズ97万部突破の大ベストセラー『伝え方が9割』の著者で、先ごろ発売された『まんがでわかる伝え方が9割』も好評の佐々木圭一さんと、映画も大ヒットした『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者であり、新刊『人間は9タイプ』も話題の坪田信貴さん。約1年半ぶりとなったお二人の対談は、互いの新刊についての話で盛り上がりました。

坪田さんの塾には「Fun=楽しさ」がある

坪田さんの塾には「Fun=楽しさ」がある

佐々木 『人間は9タイプ』読ませていただきました。心理学の手法を応用して人のタイプを9つに分け、それぞれの対応法を解説していて…とても面白かったです!

坪田 ありがとうございます!

佐々木 僕がいま高校生だったら、坪田塾に入りたかったです。ただ、残念ながらもう44歳のいいオッサンで…。

坪田 入る必要ないでしょう(笑)。

佐々木 いやいや、坪田塾ならば、自分自身の能力を引き出してくれそうだと思えるんですよね。…どこの塾に入っても、それなりに頑張れるとは思うんですが、坪田さんのところは「Fun=楽しさ」がある。より頑張れる環境だと思うんです。しかも、この本にはまさに僕が学びたかったことが書かれていて、「ああ、もう本当に、こういう本が読みたかったんです!」と。

坪田 本当ですか。ありがとうございます。診断テストもやっていただいたとか。

佐々木 やりました。本の中にも診断ページがありましたけれど僕はネットで。採点もしてくれるので簡単でした。その結果、こんなふうに…(診断結果を見せる)。

診断結果

坪田 なるほど!「達成者タイプ」が最も強くて、「統率者タイプ」が2番目ですか。へ~!

佐々木 本には各タイプの取扱説明書が書かれていましたね。「達成者タイプ」は競争心が強く、上昇志向を強く持っていて、目標へ向かって頑張ることが得意な人。負荷がかかるようなチャレンジに心が燃えますが、頑張りすぎて無理しすぎるところがある。偉く見られたいのに実力が伴わず、うわべだけ取り繕って見栄っ張りになる人もいる…とか。

坪田 佐々木さんの場合、後半は違いますけどね。学生など若い人だと、そうなりがちだという意味です。

上昇志向が強い「達成者タイプ」は、休息の時間が重要

佐々木 自分自身をどういうふうに扱えばいいのかも書かれているのですが、僕のタイプである「達成者タイプ」「統率者タイプ」で言うならば、「対人関係を重視したほうが幸福感につながりやすい」とあって、すごく大きな発見が得られました。実際、「今月は結構人と会ってコミュニケーションできたな」という月と、「忙しくてあまり人と会えなかったな」という月とでは、自分自身が感じる幸福感が全然違うんですよね。前者のほうが、とても幸せだと感じられていて。…なので、坪田さんの本を読んで、「やっぱりそうなんだ。ちゃんと人と会わなくては」と再確認できました。…まだまだたくさん、すごいなと思う点があるんですけど、言っていいですか?

坪田 ありがとうございます。すみません、ハイ(笑)。

佐々木 達成者タイプはストレスをため込みがちだから、大切なのは休憩。瞑想や丹田を意識した呼吸法がオススメ…ともありました。すごく具体的に書かれていて、わかりやすかったです。「あの時期は、休息できていなかったから、あまりうまくいかなかったんだな」と思い当たることがありました。そのころを振り返ると、だいぶ心がすさんでいたな…と。

坪田 佐々木さんがすさんでいるなんて、全然イメージが湧かない(笑)。

佐々木 そういう時もありますよ(笑)。僕、ビジネス書大好きなのでいろいろな本を読むのですが、どの本でも学びは深いんですけれど、具体的な行動に移しやすいものと移しにくいものがあるんですね。坪田さんの本はどれも、具体例がたくさん入っているから、すごく行動に移しやすいんです。

坪田 佐々木さんは言葉のプロですから…僕が言うのもなんですけれど、ちゃんと読み込んでくださってわかってくださっているのが、本当にありがたいですね。「達成者タイプ」の方って、自分で自分を追い込んで成長していくタイプなんです。ただ、ちょっと休息をとることを意識したり、人間関係を楽しんだり…ということをやったほうが、長期的に見た場合はご本人にとってプラスだと思いますよ、とお伝えしたかったんです。それをしっかり汲み取っていただき、嬉しいです。

佐々木 あと、読んでいて純粋に面白いんですよね。それぞれのタイプの取扱説明書に、学生や講師の方など、坪田さんがそのタイプの方と実際にやり取りしたエピソードが入っていて、それがいちいち面白い(笑)。「あなたはこういうタイプで、こういう行動を取ったほうがいいよ」とアドバイスするだけで本としては完全に成立しているのに、具体的なエピソードを盛り込んだほうが分かりやすいよねという坪田さんのサービス精神。普通は、自分とは関係ないタイプの解説ページは読まないと思いますが、このエピソードがあるから全ページ読んじゃったという人、多いんじゃないかな。そして、おそらく「ココで笑わせてやろう」と思いながら書いているんじゃないかな…なんて想像しながら読みました。

坪田 ハイ。さすがです。

苦手なタイプのことをよく知れば、イライラせずに済む

佐々木 ちなみに、僕のような「達成者タイプ」って、坪田さん的にはどう思われますか?

坪田 基本的には、一番点数が高いところだけを見ていただければOKなんですが、佐々木さんの場合は「達成者タイプ」の要素が非常に強い一方で、「調停者タイプ」が目立って低いです。すなわち、佐々木さんはこの「調停者タイプ」の人のことがなかなか理解しにくいんですね。このタイプの人に会うと、「なんだこいつ、イラっとするな」と思う機会が多いはず。なので、ぜひ調停者タイプのページもぜひ読んでいただいて、「なるほど、こういうふうに接すればあまりイラつかないかも」などと使っていただければと思います。

佐々木 言われてみれば、そうかも…。

坪田 加えて、「統率者タイプ」の要素も強く、一方で「芸術家タイプ」は弱い。ということは、非常にリアリストなんですね。初めは意外に感じ、驚きました。コピーライターという仕事は、センスやひらめきで勝負する仕事だと思っていたので、芸術家の要素が高いんじゃないかと予想していたんです。でも、結論から言えば「センスじゃないんだ」と。「伝え方」を分析して体系化し、学んで習得できるようにしたのはリアリストならでは。佐々木さんだからこそ、『伝え方が9割』が作れたのだと改めて思いました。

佐々木 なるほど。

坪田 コピーライターの中にはもちろん、感性やひらめきで勝負している人もいると思うんです。でも、コピーライター志願者がそこからコピーのコツを学ぼうと思っても、学べないですよね。だから、徹底的に言葉や伝え方を分析している佐々木さんに師事したほうが伸びるだろうなと思いました。

あと、佐々木さんは「達成者」だけでなく「統率者」の要素もすごく強いですよね。達成者は、ある程度一人でできてしまうタイプなのですが、「統率者」は、組織を作り、たくさんの人を動かせるタイプなので、コピーライターの塾を開いて、門下生を集めたりすると、すごく成功されるだろうなと思いました。

自分に「足りないタイプ」はトレーニングで身につけられる

佐々木 ありがとうございます。敢えてネガティブなことを言うとすると…どうですか?

坪田 そうですねぇ…。起業家として成功する人って、「達成者」と「統率者」、「楽天家」が強い傾向にあるんですよ。大企業の創業者もこのタイプ。でも、佐々木さんは「楽天家」の要素が低いんですね。先の2つだけが強いと、あまりにボスとして優秀になりすぎてしまい、部下が「この人みたいにはなれない」とあきらめてしまいがちになる。なので、楽天家の要素を意識すると、バランスがよくなるかもしれません。

佐々木 トレーニングで伸ばすことができるんですか?

坪田 瞬間的にネガティブに捉えてしまったことをそのまま放置するのではなく、「これってポジティブに言い換えるとするならばどう言えばいいのかな?」と考える訓練をしようと、先生たちによく話しているんです

坪田 もちろんです。実は僕も、個人の特性はトレーニングで変えられるものではないと思っていたんです。「三つ子の魂百まで」っていうぐらいですからね。実は、坪田塾を始めたのは、先生たちをトレーニングするのが目標だったんです。この診断テストみたいなものをいろいろやってみて、「達成者」のようなリーダー向きな人をあえて結構採用してみたんですよ、20人ぐらい。そして、タイプが全く違う「調停者」タイプも一人採用してみたんですね。そして、皆に「リーダーになりたい人は?」と聞いてみたら、その調停者タイプの人だけ手を挙げなかった。だから逆にその人をリーダーにしてみようって。彼がリーダーとして成功できたら、どんな組織でも、リーダーは育成できると思って。

佐々木 へ~!その方は変わりましたか?

坪田 変わりました。もちろん本人が望まなかったら難しいとは思うんですが、本人が望めば、後はトレーニングと環境で絶対変えられます。

考え方をリフレーミングしてポジティブに言い換えてみる

佐々木 「楽天家」の要素は、どう伸ばせばいいでしょう?

坪田 考え方をリフレーミング(出来事の枠組みを変える)することです。堅実傾向が強い方は、「私、根がネガティブなんですよ」という方が多いんです。でも、それは実は正しくて、生物って基本的に根がネガティブなんです。人間の脳の中にある扁桃体の中にセンサーがあって、不安や危険を感じると無条件に反応するんです。一方で、前頭葉では論理的に思考することができる。だから、扁桃体で思わずネガティブに反応したことを、前頭葉で切り替え、ポジティブに言い換えるのです。例えばですが、僕はすごく脚が短いんですが…。

佐々木 いえいえ、そんな(笑)。

坪田 僕の親戚に世界的な名医がいるんです。以前足をけがした時にレントゲンを撮ってもらったんですが、それを食い入るように見ているから何かすごい問題でも見つかったのか…と不安に思っていたら、彼は「足、短っ!」って(笑)。その後、定規で測り始めて、それでも「これは短いわ!」って。何千、何万症例を見てきている医者が驚くほど、足が短いんですよ。この場合の「足が短い」をポジティブに言い換えるとしたら、なんて言います?

佐々木 ええっ!?なんでしょう…うーん、「足の回転が速い」とか?

坪田 さすがです!確かに僕、足の回転が速くて「忍者みたい」って言われていましたもの。…ほかに言いかえるとすれば、「重心が低くて安定している」とか、以前言われて秀逸だなと思ったのは「ズボンに使う布が少なくてエコですね」(笑)。「エコノミークラスに乗っているのに、ビジネスクラスに感じられる」なんてのもありましたね。

佐々木 それはポジティブなんでしょうか(笑)。

坪田 これを普段のシーンに置き換えると…例えば、子どもが数学のテストで0点を取ってきたら、多くの親御さんは扁桃体がピカピカ反応してしまって、「なんだこの点数は!?」と怒鳴り、責めたりしがちなんですが、ポジティブに切り替えれば「伸びしろがあと100点分あるよね」とも言えるし、「ほかの教科よりも、ちょっと勉強しただけで点数がぐんと上がりそうだよね」ということもできる。

佐々木 すごく前向きに変わりましたね。

坪田 どんな物事でも必ず多面性があって、そのなかの「ネガティブな面」は扁桃体が即座にピックアップしてしまうんだけど、ポジティブな面を思考して考える習慣をつけようということ。初めから完璧にできるはずありませんが、瞬間的にネガティブに捉えてしまったことをそのまま放置するのではなく、「これってポジティブに言い換えるとするならばどう言えばいいのかな?」と考える訓練をしようと、先生たちによく話しているんです。

佐々木 なるほど。

坪田 楽天的な要素よりも堅実な要素が強いと、自分に100点をなかなか出さないんですよね。周囲から見れば100点だということでも、いやまだ80点だからもっと上を目指さないと…と頑張る。悪いことではないのですが、組織運営という観点で言えば、「いつまでも部下を認められない上司」になってしまいがちなんです。普段からポジティブに言い換えるトレーニングをすれば、部下のいいところが見えるようになり、楽天家要素を高められる。もともとリーダー適性が高いタイプだから、組織がうまく回るようになり、成長・拡大していくと思います。

伝え方を意識すれば、性格も変えられるはず

佐々木 遅刻してきた人に「やる気がないのか!帰れ」と怒鳴ることもできるし、「遅刻みたいなつまらないことで評価を落としたらもったいないよ」と諭すこともできる。でも、両方とも言っていることは「遅刻するな!」なんですよね

佐々木 2017年の早い段階でこの話が聞けて良かった!(笑)

坪田 いえいえ、僕が言うことじゃないかもしれないですけど。

佐々木 これ、「伝え方」と通じるところがありますよね。例えば、遅刻してきた人に「やる気がないのか!帰れ」と怒鳴ることもできるし、「遅刻みたいなつまらないことで評価を落としたらもったいないよ」と諭すこともできる。でも、両方とも言っていることは「遅刻するな!」なんですよね。

坪田 そうです、そうです。おっしゃるとおりです。

佐々木 考えていることは一緒なのに、前者のように怒鳴ってしまうと相手は「パワハラ、怖い、いやな奴」という印象を持ち、卑屈になる。でも後者は「自分のことをいろいろ考えてくれている、思いやりのある人」と前向きな気持ちになる。伝え方で、人の性格も変わるんじゃないかって思っています。

坪田 まさにそれ、昨日の入試説明会で話したばかりです。例えば「楽天家タイプ」の子は、入試も「きっとどうにかなるだろう」と思っているんだけど、親御さんからすれば不安で「今のままだとヤバイよ。高校も、大学も行けなくて、行き着く先はニートだよ」なんてことをおっしゃる。でも、相手は楽天家なので「うるさいな」と思うだけなんですよ。

そういう子には、僕ならば「もしめっちゃ勉強して成績がすごい上がると、クラスの女子が「え、○○君何でそんな急に勉強ができるようになったの?」と寄ってくるし、先生も「天才現る、じゃん。何があったの?」って褒めてくれるよ。で、いい大学に行ったら就職先もいくらでもあって、海外旅行に年に2回も3回も行けるようになっちゃうよ。それ、良くね?」って言います。すると、楽天家だけに「あ~、それいいね~」ってなるわけですよ。

佐々木 でも、どちらも言っていることは「勉強しろ」。

坪田 その通りです。前者は「暗い未来にならないように、勉強しろ」、後者は「明るい未来になるように、勉強しろ」なんですね。でも、楽天家タイプには後者が響く。一方で「堅実化タイプ」という石橋をたたいて渡らないようなタイプに同じことを言うと、見る見るうちに顔が険しくなるはず。「そんな甘いことを言って…この人、信用ならない」となる。相手の性格によって伝え方を変えていったほうが、伝わり方が断然違うんです。それを逆に考えれば、伝え方をコントロールすることで、性格を改善することもできるはずなんですよね。

佐々木 初めは、何がいいのかわからないと思うんですよ。例えばテニスで、長年の自分のフォームを矯正されたら初めは違和感を覚えるけれど、そのうちそのフォームが自分のものになっていくというような。自分が発する言葉も同じで、初めは「自分的には本当はこんな言い方はしないんだけど…」と思いながらも、言い方を変えていくとそれが自分の「型」となって、より「伝わる言い方」になる。そして、伝え方が変われば、自分の特性も変わっていく。

坪田 佐々木さん、僕、前からずっと言っていますけど、『伝え方が9割』は教科書になればいいと思っているのはまさにその点で。人間って、言葉でできているんですよね。うちの生徒や親御さんにはぜひ、『伝え方が9割』と『人間は9タイプ』をセットで読んでほしい!

佐々木 たしかに、あわせて読むと、学びが大きくなると思います!


出典:ダイヤモンド社 書籍オンライン Copyright © 2016 DIAMOND,Inc. All rights reserved.

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

typeメンバーズパークの最新情報をお届けします

著者紹介

  • 坪田 信貴(つぼた・のぶたか)

    坪田 信貴(つぼた・のぶたか)

    坪田塾 塾長。これまでに1300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。「地頭が悪い子などいない。ただ、学習進度が遅れているだけ。なので、遅れた地点からやり直せば、低偏差値の子でも1~2年で有名大学、難関大学への合格は可能となる」という信念のもと、学生の学力の全体的な底上げを目指す。

  • 佐々木 圭一(ささき・けいいち)

    佐々木 圭一(ささき・けいいち)

    コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 新入社員時代、 もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書は その体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
    佐々木圭一公式サイト: www.ugokasu.co.jp
    www.facebook.com/k1countryfree
    Twitter: @keiichisasaki

書籍を購入する

  • まんがでわかる伝え方が9割

    まんがでわかる伝え方が9割

    著者:佐々木 圭一
    出版社:ダイヤモンド社
    定価:1,296円

  • 人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書

    人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書

    著者:坪田 信貴
    出版社:KADOKAWA
    定価:1,490円

もっと見る