コラム

2017.10.05

「英語ができる人」より「システムがわかる人」の価値が高い理由

「思いがけず情報システム部門に配属されてしまった」
「本業でいっぱいいっぱいなのに、新規プロジェクトに膨大な時間とられてうんざり」
「専門用語もITのしくみも、正直、意味がわからない」

企業がITビジネスをどんどん広げていく傾向にある中、そんな悩みを抱える人が増えているようです。しかし、見方を変えると、ITに関する知識やスキルは、ビジネスパーソンにとっての心強い「武器」になります。

そこで、かつてない「システム発注者のための入門書」として注目を集め、発売早々重版を重ねる『システムを「外注」するときに読む本』の著者が、「知識ゼロ」でもわかる、システム開発の全容と、実践的な知識とスキルをお伝えしていきます。
※こちらの記事は『ダイヤモンド社 書籍オンライン 』の提供コンテンツです。元記事はこちら。

システム導入プロジェクトに巻き込まれ
うんざりしている人へ

「自動車会社に入社して、好きな車種の営業に力を入れようとワクワクしていたのに、情報システム部門に配属されて、ワケのわからないコンピュータのことばかり考えるハメになってしまった……」

「営業職でバリバリ売上を稼いでいたのに、面倒な新規システム開発のメンバーにアサインされ、週のうち少なくとも3日はそちらに時間がとられてしまう……」

「難解で興味も持てない仕事を押しつけられるのは苦痛で仕方ないし、こんなことを押しつけられて、今後のキャリアパスはどうなってしまうのか不安でしかたない……」

そうしたことに悩んでいるビジネスパーソンは、意外と少なくないようです。

仮に、今はITと無縁の仕事をしていたとしても、決して安心はできません。昨今、多くの企業はAIやIoT、ブロックチェーンなどの技術を活用して、新しい商売のネタやビジネスモデルの変革に注力しています。

IT要員の増強や育成は、どの企業にとっても重要な課題です。営業、企画、設計、製造、マーケティング、バックオフィスなど、あらゆる分野でITの活用が必須となっている以上、組織内のどんな人にも、情報システムに携わらざるを得ない可能性があるのです。

しかし、本人が好むか好まざるかにかかわらず、情報システムに携わることになったからには、イヤイヤ仕事をしていても良いことはありません。モチベーションを下げて作業の品質を下げるようだと、人事上の評価も下がりますし、そもそも、いい加減に仕事をこなすことほど時間を無駄にする行為もありません。

ここはひとつ腹をくくって、良い製品を作ったり、売上を上げて自分の会社に貢献するのと同じように、「本当に役に立つ情報システム」を作って売上向上やコスト削減に貢献し、自身の給与アップや昇進にもつなげていくのが賢明な選択だと言えるでしょう。

ITシステム開発のスキルは
替えがたい「武器」になる

見方を変えると、ITシステムを作るスキル・知識のある社員というのは、他に替えがたい人材です。売上を伸ばしたり、コストの削減ができるシステム導入を成功に導いてくれる社員は、場合によってはトップセールスマンを凌ぐ貢献ができる存在です。

また、転職を考えるような時にも、ITシステム開発に関する知識やスキルは、英語やデータ分析、経理、法律などと並んで、あるいはそれ以上の価値を生む、ビジネスパーソンにとっての心強い「武器」になります。

システムの知識があなたの武器になる

私が携わったプロジェクトでも、Webで通販サイトを作って数十億の売上を上げる会社や、無駄な作業をシステム化によって億単位のコスト削減に成功した例は決して珍しくありませんが、その功績は間違いなく、そのシステム導入を成功に導いた発注者企業のシステム担当者のものです。

そうはいっても、何から、どのようにシステムを学べば良いのか、誰も教えてくれないのが現実です。

情報システムの仕組みなんて全然知らない。
ときどき耳に入ってくるIT用語の意味も、まるでちんぷんかんぷん。
どうやってシステムを導入すれば良いかなど、見当もつかない。

そんな人は、どうすれば良いのでしょうか?

『システムを「外注」するときに読む本』の主人公である白瀬智裕は、まさにそのような人物です。長年勤めた営業部門から、突如、システム開発プロジェクトのリーダに抜擢され、不満タラタラの状態でシステム開発に携わることになります。

そんな白瀬という人物が、クライアントの犯罪まがいの裏切りや、社内外での無数のトラブルを乗り越えながら、自社のビジネスモデルを大きく変えることになるシステムの導入に成功し、社長から厚い信頼を得て、発注者側のシステム担当者として成長していく過程を描いています。

情報システムの導入に何よりも大切なものは、ITの小難しい技術知識ではなく、自社業務の現実を知ることと、「仕事の仕方をこう変えたら、みんなが喜ぶだろう」というビジョンを持つことです。

そのビジョンを実現するために、現実の業務プロセスや制度をどのように変えるか、それを情報システムにどのように支援させるのかなどを考える必要はありますが、それらは決して難しいものではありません。プログラミング言語も、システム設計技術も、サーバやデータベースの技術知識も必要ないのです。それは、超文系人間の私が保証します。

とうわけで、本連載では、『システムを「外注」するときに読む本』よりもさらに初心者の方に向けて、発注者側のシステム担当者が、自社に価値をもたらすために必要な活動とはどのようなものか、そのために必要なスキル・知識とはどんなものなのかについて、詳細にお伝えしていきます。

社内の要望や経営方針を元に、システムの要件を定義すること、導入を依頼したベンダをどのように管理するか、そしてテストフェーズでの役割等、ひと通りのことを、できる限り初心者にもわかりやすく書いていきたいと思います。

まず次回は、ITシステムの「始めから終わりまで」に何をするのか、その全体像を明らかにしていきます。ぜひ、『システムを「外注」するときに読む本』と合わせてご覧いただき、使い倒していただき、ご自身のプロジェクトで実践していただければ幸いです。

『システムを「外注」するときに読む本』
著者からのメッセージ

「システムに欠陥が多すぎて使いものにならない」
「当初は5000万円でできるはずだったシステムが、結局2億円かかった」
「作業が遅れて、いつ終わるのか見えない」
「自分が使うシステムなのに、なぜか社員が協力してくれない」
「経営者がシステムのことをわかってなさすぎる」
「システム担当者は、いくら頑張っても感謝されない!」

あなたの周りの人が、そんなことを言っているのを、耳にしたことはありませんか?
もしかするとあなた自身が、そう感じたことがあるかもしれません。

少し前まで、日本のシステム開発プロジェクトの成功率は、たったの3割と言われていました。実に3分の2以上が失敗していたのです。

新しい開発技術が生まれたことなどから、今ではずいぶん改善されましたが、それでも他のプロジェクトに比べると成功率が非常に低いのが現状です。

私は、かつて大手システムベンダーのプロジェクトマネージャーとしてシステム開発の現場に携わり、その後、東京地方裁判所、東京高等裁判所のIT専門委員として、日本中の、ITトラブルが法的紛争となった事件の和解調停や裁判の補助を担当しました。もちろん、私自身も、エンジニア時代は数々の失敗を重ねてきました。

決して自慢できることではありませんが、これまで携わったトラブルプロジェクトは70以上。調停委員時代、トラブルを裁判に発展させず解決に導いた確率は9割を超えました。今は、経済産業省の政府CIO補佐官として、政府系機関システムのアドバイザー業務に携わっています。

その経験から私が強く感じるのは、「システムの開発は、発注者とベンダの協働作業」だということに尽きます。

「お客様 vs 受注者」
「システムの素人 vs システムのプロ」
「この通りに作ってくださいね」vs「そうですか。わかりました」

そうした対立関係を乗り越えて、発注者が「お客様」から「プロジェクトメンバー」にならなければ、本当に役に立つシステムを完成させるのは困難です。

『システムを「外注」するときに読む本』では、私が数々の失敗プロジェクトを見聞きしてきた経験を総動員して、システム開発プロセスに潜むトラブルの種を取り除き、ベンダと協力しながら「本当に役に立つシステム」を完成させるための最低限の知識を、7つのストーリーにまとめました。言わば、膨大な失敗事例から見えてくる、成功のポイントを凝縮した本です。

発注者企業のみなさま、ぜひ、本書を自社のシステム開発の参考にしていただければ幸いです。


出典:ダイヤモンド社 書籍オンライン Copyright © 2016 DIAMOND,Inc. All rights reserved.

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著者紹介

  • 細川義洋(Yoshihiro Hosokawa)

    細川義洋(Yoshihiro Hosokawa)

    経済産業省CIO補佐官。ITプロセスコンサルタント。立教大学経済学部経済学科卒。元・東京地方裁判所民事調停委員・IT専門委員、東京高等裁判所IT専門委員。大学卒業後、NECソフト株式会社(現NECソリューションイノベータ株式会社)にて金融機関の勘定系システム開発など多くのITプロジェクトに携わる。その後、日本アイ・ビー・エム株式会社にて、システム開発・運用の品質向上を中心に、多くのITベンダと発注者企業に対するプロセス改善とプロジェクトマネジメントのコンサルティング業務を担当。独立後は、プロセス改善やIT紛争の防止に向けたコンサルティングを行なう一方、ITトラブルが法的紛争となった事件の和解調停や裁判の補助を担当する。これまで関わったプロジェクトは70以上。調停委員時代、トラブルを裁判に発展させず解決に導いた確率は9割を超える。システム開発に潜む地雷を知り尽くした「トラブル解決請負人」。2016年より経済産業省の政府CIO補佐官に抜擢され、政府系機関システムのアドバイザー業務に携わる。著書に『システムを「外注」するときに読む本』(ダイヤモンド社)、『なぜ、システム開発は必ずモメるのか!』『モメないプロジェクト管理77の鉄則』(ともに日本実業出版社)、『プロジェクトの失敗はだれのせい?』『成功するシステム開発は裁判に学べ!』(ともに技術評論社)などがある。

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  • システムを「外注」するときに読む本

    システムを「外注」するときに読む本

    著者:細川 義洋
    出版社:ダイヤモンド社
    定価:2,138円

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