コラム

2017.06.09

スポーツ誌『Number』も特集!一流アスリートが『嫌われる勇気』を実践していた

4月13日発売のスポーツ雑誌『Number』は「スポーツ 嫌われる勇気」というタイトルの特集だという。『嫌われる勇気』といえばアドラー心理学を説き明かしたベストセラー。普段は野球やサッカーなどのスポーツごとに特集を組んでいる『Number』が、様々な競技のスポーツ選手や指導者を集めて見出した、彼らの「勇気」とは? 松井一晃編集長に、この特集の真意を尋ねた。

スポーツ誌『Number』も特集!一流アスリートが『嫌われる勇気』を実践していた

清原和博選手が『Number』と『嫌われる勇気』の出会いのきっかけ

―― 今回、『Number』が「スポーツ 嫌われる勇気」という特集を組むことが話題になっています。やはり最初にお聞きしたいのは、なぜスポーツ雑誌の『Number』が嫌われる勇気なのか? ということです。

松井一晃編集長(以下松井) 最初のきっかけまでさかのぼると、昨年8月の『Number』の甲子園特集、というか清原和博選手の記事ということになります。賛否両論ある企画でしたが、“1985年の清原和博”への思いを込めた記事でした。私が僭越ながらその号の編集後記に清原さんに宛てたつもりで記したメッセージをTwitterで拡散してくれたのが、『嫌われる勇気』の著者のひとりである古賀史健さんでした。

そのあたりの経緯はNumber webで古賀さんも記してくださっているのでそちらもご覧いただきたいですが、ともあれ、それで一度お会いしようということになりました。

―― その出会いがこの企画にどうやってつながっていったのでしょう?

嫌われる勇気

嫌われる勇気

著者: 岸見 一郎、古賀 史健
出版社:ダイヤモンド社
定価:1,620円

松井 恥ずかしながら、古賀さんにお会いするということで初めて『嫌われる勇気』を読みまして。アドラーの教えを知ってみると、すぐにいろいろなスポーツ選手や指導者の顔が思い浮かんだんですね。

私の場合は、「課題の分離」というテーマで松井秀喜さんを想起しました。他者の課題と自分の課題を切り分ける、というアドラーの思想の中でも重要な部分ですが、松井さんは高校時代から「自分にコントロールできることだけに集中する」という意味のことをずっと言っていました。それで、ああ、これは他にもいろいろなアスリートが無意識のうちに『嫌われる勇気』に書かれていることを実践しているのではないかと思ったんです。

そこで古賀さんともいずれ何かやりましょう、とお話しして、アイデアをずっと温めていました。

―― それが今回結実したと。

松井 はい。毎号報じなくてはいけないスポーツも多いので、会議の俎上に上ったのは約半年後でした。こういうことで、とプランを募集したところ、やはり興味深いアイデアが次々出てきたんですね。たとえば、「嫌われる勇気」という言葉から皆が真っ先に連想したのがラグビー前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんでした。

あるいは、本を実際に読んでいるアスリートもいました。ボクシング特集で村田諒太選手にインタビューをしたところ、「共同体感覚」といったアドラーの用語を盛んに引用されて、勉強されていることがわかった。これは聞いてみない手はないな、と。

著者二人から見た、アスリートの『嫌われる勇気』とは?

―― 目次を見てみると、そうしたアスリートの名前が並ぶのと同時に、『嫌われる勇気』の著者のお二人、古賀さんと岸見一郎先生のお名前もありますね。

Sports Graphic Number 2017年 4/27 号

松井 どうせやるならぜひこの「嫌われる勇気」というタイトルを生かしたい。それに、どうせならぜひ最もアドラー心理学をよく知るお二人にも参加してもらいたい、ということで打診したところ、非常に面白がってくださって、喜んで参加したい、と。

そこで、特集の2本柱として、エディー・ジョーンズさんのインタビューを古賀さんに、村田選手との対談を岸見先生にお願いしました。どちらもぜひ会ってみたいということで、古賀さんにはイギリスに飛んでもらい、岸見先生には京都から東京に来てもらいました。

―― 異種格闘技戦の取材という感じですが、いかがでしたか。

松井 村田選手は非常によく読んでいる読書家で、『嫌われる勇気』と続編の『幸せになる勇気』も相当読み込んできていました。そのうえで、悩みを率直に岸見先生に話してくださった。まさに「青年」と「哲人」の対話が実在の人物に再現されているようでした。

二人の間の媒介に本があるおかげで、トップアスリートの頭の中の葛藤や迷いといったものが赤裸々に打ち明けられています。こんなインタビューはなかなかできるものではありません。

瞬間瞬間の判断を求められるトップアスリートが、その前後でものごとをいかに合理的、論理的に整理しようとし、悩んでいるかがよくわかります。村田選手も「取材はたくさんあるけれど、こんなに楽しみにしていた取材はなかなかありませんよ」と言って喜んでくれたそうです。

―― エディー・ジョーンズさんは「ハードワーク」などの言葉で有名なものすごく厳しい指導者ですね。確かにイメージとしては嫌われていそうです(笑)。

松井 エディーさんの指導哲学は、今までにも様々な形で語られてきました。しかしそこに古賀さんがアドラー心理学という“ものさし”を当てて読み解くことで、その覚悟や凄みがさらに明確になった、という気がしましたね。

エディーさんも読書家として有名ですが、アドラーには出会っていなかったそうです。しかし、インタビュー中も「自分を貫く勇気」といった言葉を再三おっしゃり、古賀さんのぶつけたアドラーの思想にも何度も「完璧に同意する」と共感していました。

先ほど挙げた松井さんや、今回取材したその他のトップアスリートにも言えるのですが、アドラーを読んではいなくても、皆さん同じ考え方に至って実践しているのが興味深かったですね。

―― 確かにスポーツには「勇気」がつきもの。アスリートはアドラーの実践者の最たる人たちなのかもしれませんね。

松井 インタビューの中でエディーさんはヘッドコーチという仕事を企業に喩えていました。まさに、スポーツに限らず、ビジネスや日常の様々な場面でリーダーシップを取る必要がある人の指針となる考え方が満載で、経営論、リーダーシップ論とも言うべきインタビューになっています。

努力や結果の形が明確に見えやすいアスリートという人たちだからこそ、アドラーの実践という点でも、非常にわかりやすい例を示してくれていると思います。『嫌われる勇気』の読者には、ぜひとも『Number』を手に取って確かめてみていただきたいですね。

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出典:ダイヤモンド社 書籍オンライン Copyright © 2016 DIAMOND,Inc. All rights reserved.

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    著者: 岸見 一郎、古賀 史健
    出版社:ダイヤモンド社
    定価:1,620円

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