コラム

2017.05.19

雑談力が高い人ほど会話の「終わらせ方」がうまい

何気ない会話が上手な人は、おしゃべり好きな人だと誤解していませんか?
実は、「単なるおしゃべり」な人は、雑談力が高い人とは言えません。
一方的に話をする人、相手との距離感を保てずダラダラと話し続ける人。
こういう人はむしろ「コミュニケーションに難あり」とマイナス評価を受けることも。
本当に雑談が上手で会話力のある人は、サクッと会話を終わらせられる人なのです。

「会話のドツボ」にはまってしまう

勇気を出してコミュニケーションをとろうと話しかけてみたものの、相手の話が長くて困ってしまった。次の予定があるのに切り出せない。
時計が気になって、相手の話が全然頭に入ってこないため、相手もやがて「話を聞いているのかな」とあなたに不信感を抱く……。

もしくは、電車やエレベーターなどで一緒になった人との雑談で、相手が気持ちよく話している途中で自分が先に降りることになり、どうしていいかわからず、逃げるようにその場を立ち去ってしまった。
「ああ、なんて気まずい別れ方だったんだ。きっと感じの悪い人だと思っただろうな」と後悔する。

こんな風に「会話のドツボ」にはまってしまうケース。
誰もが一度は経験したことがあるでしょう。

雑談上手な人ほど、会話の「終わらせ方」がうまい

「雑談が上手な人って、要はおしゃべりな人でしょう」と誤解している人も多いかもしれません。
しかし、本当にコミュニケーション能力の高い人、雑談上手な人ほど、会話の「終わらせ方」が上手なのです。

ここで改めて雑談の基本形について説明しましょう。

雑談の基本は次の3ステップで構成されています。

ステップ1 声をかける?→?ステップ2 話す?→?ステップ3 別れる

雑談はすべて、この3つのステップで構成されています。
この3ステップが、余分なものをそぎ落とし、必要最小限の要素だけを残した雑談の「基本型」なのです。

この3ステップ目、雑談の最後は「別れる」なのです。
「別れる」をしっかり行ってこそ、雑談上手、コミュニケーション能力の高い人になれるというわけです。さっそく説明しましょう。

「後味のよさ」をつくるためのひと言

「後味のよさ」をつくる 雑談の基本型における最後のステップは、話し終えて「別れる」、つまり雑談を切り上げる(終わらせる)というプロセスです。

たとえば、エレベーターに乗り合わせた顔見知りと、あいさつし、会話をし、気づまりになりがちな密室空間の空気がほぐれて、降りる階に到着したら、
「じゃあ、また」(同じ階で降りるなら)
「いってらっしゃい」(相手が先に降りるなら)
「では、お先に」(自分が先に降りるなら)と、サクッと切り上げて別れる。これだけです。

ポイントは、「別れ際のひと言をしっかり言うこと」だけ。

話を切り上げるための理由をくどくどと述べる必要もなく、次の会話の約束も必要ありません。
タイミングが来たら、「じゃあ」と切り上げる。
この終わり方の潔さが、雑談ならではなのです。

具体的な会話の例でみてみましょう。
あなた?「おはようございます」
相手?「あ、おはようございます」
あなた?「今日も寒いですね」
相手?「しかも夕方から雨らしいですよ」
あなた?「ええ、だから一応折り畳み傘、持ってます」
相手?「さすが、用意がいいですね」
あなた?「でしょ(笑)。じゃあ、また」
?←?話が途中でもサクッと切り上げる

打ち解けたい気持ちを伝え、打ち解けようと行動し、打ち解けたら、最後は気分よく、そして潔く別れるのです。

「じゃあまた」
「ではまた」

この2種類を、相手によって使い分け、ひと言放ったらサッとその場を立ち去る。

「じゃあまた」と別れた後、少しだけ物足りない気持ちになることがあります。

お互いに「もう少し話していたかったな」と感じ、
そこから「次に会ったときも声をかけよう」とか「また会いたいな」という気持ちになる。

雑談の締めくくりは、次につながる好印象を残すチャンスでもあるのです。

「終わらせる」ができれば、あなたの雑談力はグッと上がる

ちなみに、私の著書『雑談力が上がる話し方』で書いた、この「サクッと終わらせる」という雑談の流儀について、「目からウロコだった」「話すハードルが下がった」「雑談に対する自分の偏見に気づいた」といった具合に、大きな反響がありました。
それだけ、多くの人が雑談の本質を理解していなかったのだと思います。

相手との間にある空気をちょっと動かすことで、場をほぐすのが雑談の役割。
であれば、ダラダラと話を続けるのではなく(それはそれで、場の停滞につながることも)、サッと終わらせ、その場を立ち去ることもまた、場を動かし、いい空気をつくることにつながるというわけです。

「会話を終わらせる」ことの重要性に気づいていなかった人は、ぜひこのステップ3の「別れる」までを実践して、雑談の魅力である「後味のよさ」を堪能していただければと思います。


出典:ダイヤモンド社 書籍オンライン Copyright © 2016 DIAMOND,Inc. All rights reserved.

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著者紹介

  • 齋藤 孝(さいとう・たかし)

    齋藤 孝(さいとう・たかし)

    1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ、ラジオ、講演等、多方面で活躍。
    著書は『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』『コミュニケーション力』(岩波新書)、『現代語訳?学問のすすめ』(ちくま新書)、『質問力』(ちくま文庫)、『語彙力こそが教養である』(角川新書)、『雑談力が上がる話し方』『雑談力が上がる大事典』(ダイヤモンド社)など多数ある。

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