コラム

2017.04.28

注意されても、92%の社員は行動を変えられない!

多くの人間は楽をしたいと思うもの。何度注意されても、ほとんどの人は行動を改善できない。しかしそれでは、会社の利益がどんどん社外へ流出してしまう。社員にやるべきことをやらせるには、どうしたらいいのか――。『儲かる会社は人が1割、仕組みが9割』の著者・児島保彦氏に、その秘訣を聞いた。

注意されても、92%の社員は行動を変えられない!

結果をしつこくチェックしなければ意味がない

人間は必ず「楽をしよう」と考えるものです。それが仕事の効率化につながるのなら大いに結構ですが、どうしても「手抜き」や「さぼり」につながってしまいます。気がつけば当たり前のことまで、やらなくなってしまうものです。

これは「いい人材はいないのだから仕方がない」ですますわけにはいきません。そこで確実に会社の利益が漏れていくからです。

では、どうしたらよいでしょうか?私も脅したりすかしたり、話法を変えてみたり、理論武装したり、あらゆることをやってみましたが、結果は同じでした。「わかっちゃいるけど、やらない」のです。あるいは「言われた直後はやるけれど、すぐに元に戻ってしまう」のです。

社員が当たり前のことをやらない、続かない原因は、「継続させる」ための知恵や工夫を、社長が実行していないことに尽きます。やるべき課題を与えるだけではダメなのです。社員を動かす決め手は、「やったか」「やったか」と繰り返し問い続けることです。

行動計画を立てることは、どの会社もやっているでしょう。しかし、この「やったか」「やったか」を、徹底的に追求する会社は少ないのです。

重要なポイントは、ことあるたびに繰り返し忍耐強く、やるべき課題について「やったか」「できたか」とチェックすることです。

社長は「わかっているはず」あるいは「わかってくれている」といった甘い思い込みを捨ててください。やらないのが当たり前なのです。小学生の母親のように、「宿題はやったのか?」「宿題をすませてから遊びに行きなさい」と、毎日チェックすることです。

「やったか」「やったか」を、社員が最後には「やるしかない」「やらなきゃいけない」と思うまで、繰り返すのです。

理解することと実行することは別ものである

やるべき課題を出し「やったか」とチェックすることは、社員の実行力を引き出すことにつながります。社員がいくら頭で理解していても、実行しなければ意味がありません。会社の利益にはつながらないのです。

こんな統計数字があります。100人の社員が同じことを聞いた場合、その内容を理解できる人8割の80人。理解したうえで、その内容に賛同する人はその半分の40人。そしてそれを実際に実行する人は、そのうち2割の8人だけだというものです。

つまり100人の社員に、いくら説教をしても、説明をしても、実行する社員は8人にすぎないということです。この数字は、私の経験と照らし合わせてもまさにそのとおりだと実感できるものです。

理解することと実行することは、まったく関係がありません。

社長が「どうしてもわかってもらって、実行してほしい」ことを、心を込めて一生懸命熱弁をふるって説明したとします。そして、社員のみなさんもそれに応えて「わかった、やります」と心から誓ったとします。

多くの場合、社長はこれでやってくれるものと確信して期待するでしょう。「よかった。これで利益が出るはずだ」などと思い込みがちです。楽観的な社長は「よし、これでできた」と思って「今期は楽しみだ」などと期待するかもしれません。

私が実際に遭遇した場面です。ある事件が起きました。報告、連絡、相談(ホウレンソウ)を疎かにしたことが原因で、会社に多大な損害を与えました。

「ホウレンソウさえしっかりできていれば、こんな損失を被らなくてもすんだのに。よし、朝会で全社員に話して徹底的に守ってもらおう」と社長は考えました。

「これからは報告をしっかりやり、連絡は忘れないように、そしてわからないことがあったら必ず相談するように!」

社員も「社長の言うことはもっともだ。ちゃんとできていればこんなことにはならなかった。これからはしっかりホウレンソウをしよう」と、本当に純粋な気持ちで思い、朝会は終わりました。

さて、数日たってどうなったでしょう。別に変わったことはありません。相変わらず上司は「そんなときは相談してくれよ」「連絡を忘れるなんて、しっかりしてくれよ」「なんでもっと早く報告しなかったのだ」などと怒っています。

実際に事件が起き、大きな被害が出た直後でしたから、社長の言葉は社員の頭の中に残っているはずです。にもかかわらず、ほとんどの人は頭で理解しただけで、実行には移していなかったのです。

「ホウレンソウを徹底しよう」「何事も迅速に」「挨拶をしよう」「明るい元気な会社」「コンプライアンスの遵守」「5S運動」「原価意識に徹してコスト低減に努めよう」――これらの言葉は抽象的です。理解はできても、「では、今から何をすればよいのか」、つまり何を実行すればよいのかがわからないのです。

これらの抽象的なスローガンを聞いただけで、実行に移すことができる社員は、先に述べたとおり100人のうち8人です。

組織の中で、92人とは違うことを8人の社員だけが継続して実行するというのは難しいものです。「おまえ、何をやっているの?」「今までうまくいっていたのだから、そんなことしなくてもいいんじゃないの?」――そう感じてしまう92人に悪気はありません。むしろ人間として自然な心理です。

すると、せっかく目覚めて行動を起こした8人も、1人抜け、2人抜け、結局、元に戻るのです。

やるべき課題を与えることと「やったか」のセットは、100人全員に、有無を言わさずやらせることに意味があります。職制の上下は関係ありません。全員に具体的な行動の課題を出すのです。

どんな会社も、必要に迫られて意識改革をしようとしますが、99%は成功しません。その原因は抽象的な説教や、言葉による威嚇といった精神論から入るからです。誰が聞いても否定できない抽象的な正論を聞いても、右の耳から入って左の耳に抜けるだけです。

行動しなければならない仕組みをつくって、その中へ社員を追い込んで、「やったか」「できたか」を繰り返し、体に覚えこませて習慣にするのです。習慣になれば意識が変わります。そこではじめて意識改革が成功します。会社全体で、一気に人を動かすには、この方法しかありません。


出典:ダイヤモンド社 書籍オンライン Copyright © 2016 DIAMOND,Inc. All rights reserved.

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

typeメンバーズパークの最新情報をお届けします

書籍を購入する

  • 儲かる会社は人が1割、仕組みが9割

    儲かる会社は人が1割、仕組みが9割

    著者:児島 保彦
    出版社:ダイヤモンド社
    定価:1,728円

もっと見る