コラム

2017.04.14

仕事は「50点」でいいから早く出せ!

いよいよ4月から会社員生活がスタート!必要な準備はできているか、気になっている新入社員の方も多いようです。そんな「来週から入社1年生」のみなさんに、36万部突破のベストセラー『入社1年目の教科書』著者・ライフネット生命保険社長岩瀬大輔氏が、入社する前に前に意識しておくといい、学生時代と大きく異なる仕事の原則についてお話します。

仕事は「50点」でいいから早く出せ!

仕事における3つの原則とは?

いよいよ週明けから新生活がスタートする。新入社員のみなさん、準備はできていますでしょうか。
今回は、会社に入る前に知っておくといい「3つの原則」の原則2「50点で構わないから早く出せ」についてお話しします。この原則2が、学生時代との一番の違いかもしれません。
私が入社1年生対象の講演会などでいつもお伝えしていることですので、すでに聞いたことがあるという人も、新年度を迎えるための「準備」として、改めて押さえていただければと思います。

書籍『入社1年目の教科書』で紹介している「仕事における3つの原則」は、次のとおりです。

1.頼まれたことは、必ずやりきる
2.50点で構わないから早く出せ
3.つまらない仕事はない

今回は、原則2「50点で構わないから早く出せ」について説明したいと思います。

仕事は「持ち込み可」のテストと同じ

この原則2は、原則1「頼まれたことは、必ずやりきる」と実はつながっています。
一言で言えば、「100点の状態にしなくてもいいから、必ずやる」ということです。

上司や先輩などから頼まれた仕事に対し、新入社員のうちは完璧にこなせることは少ないと思います。だからこそ、「完璧ではなくていいから、とにかく早く出す」ことを意識するのです。もちろん、仕事の質や種類にもよるとは思いますが、ほとんどの仕事は、「質」より「スピード」のほうが、新入社員には大事だと思います。

たとえば、何かのレポートを書くよう頼まれたとします。
どのような形で提出するのがいいでしょうか。

Aさん:100点満点のものを1週間かけて作成する
Bさん:1日で50点くらいのものを出して、上司に赤ペンを入れて修正してもらう

当然、評価されるのはBさんのほうです。
「早くやる」というのは、「早い段階で上司に赤ペンを入れてもらって、レポートをどんどんアップグレードさせていく」ということなのです。

頼まれたレポート作成は、50点レベルのざっくりしたものを急いで作って上司に提出し、上司に修正してもらう。こんな風に言うと、次のような不安にかられる人もいるでしょう。

「え、仕事を頼まれたのは自分なのに、上司にやってもらって大丈夫なの?」

そこで、たとえを変えてみましょう。

私は大学時代法学部で、在学中に司法試験に合格しました。
司法試験は六法〈憲法・民法・刑法・商法(会社法)・民事訴訟法・刑事訴訟法〉を参照しながら受験できます。なぜなら、弁護士になれば、六法を使って仕事をするからです。もちろん、六法そのものは膨大な情報量ですから、ある程度「どこに何が書かれているか」を把握していないといけませんが、一字一句丸暗記する必要はありません。参照可能なのですから。

仕事も同じです。あなたに求められているのは、「成果」です。
あなた自身が持っている能力を試すものではありませんから、人の力を使ってもいい。上司も先輩も専門家も「持ち込み可」です。
大切なのは、誰の助けも借りずに、何も見ずにやることではなく、すべてのリソースを総動員して、より速くアウトプットを出すことなのです。むしろ、自身の能力がないうちは、積極的に上司の力をうまく使いながら、仕事を進めていくことが不可欠でしょう。

よくこの話をするのですが、新入社員の頃、私が上司によく言われた言葉があります。

「岩瀬ほど、しょっちゅう俺のとこに来るヤツいないよ」

仕事を頼まれると、頻繁に上司のところへ行き、その都度フィードバックをもらっては再提出を繰り返していたのです。

転職した2社目の上司からも、同じようなことを言われました。

「岩瀬は、自分の書いたレポートを真っ赤にされると喜ぶ」

自分の「できないこと」を理解していれば、人の力を借りれる

なぜ私は、50点の段階で上司に見せて、赤ペンで修正されては喜んでいたのでしょうか。
それは「早く完成に近づくことがうれしい」と、私が思ったからです。

私は、自分のできることとできないことを理解しています。
ここまではできるけれど、この先はできない。その境界線どこにあるのか、理解しています。
もっとよくするためには、上司のフィードバックをもらったほうが、早く確実に前に進められる。自分のできる範囲で考えたり調べたりする→上司に赤ペンを入れてもらう→再び自分なりに考えながら、修正する→上司に再提出する。
このサイクルを高速で回すことで、仕事がどんどん前に進むのです。
わからなかったことが上司のアドバイスによってわかるようになり、仕事が少しずつ完成形に向かっていく。このプロセスが楽しいのです。

もし上司が忙しそうにしていたら…

「そうは言っても、上司が忙しそうにしていたら、どうしたらいいんですか?」

この質問もよく受けます。

答えは明快、気にせず聞けばいいのです。
そもそも上司の仕事は、部下の力を引き出して、いいものを生み出すことです。
あなたにフィードバックすることは、上司としての仕事なのです。

もちろん、声のかけ方には気をつけます。
「5分ほどお時間いただけますか?」などと、謙虚かつ臆することなく上司にお願いをし、「この箇所について悩んでいます」とか「この点が不明なので教えていただけますか」と、質問のポイントを明確に伝えます。

どんなに忙しくても、「ちょっといいですか?」と部下から言われたら、上司はいったん手を止めます。
「ちょっときみ、それぐらい自分で調べなさいよ」はダメです。
自分でできることは全部やって、行き詰まったところに早く助けてもらうのがセオリーです。

あと、抜けがちな発想としては、頼るのは直接の上司以外でもいい、ということ。いろいろな部署の人に教えてもらえばいいのです。経理部長だったり総務部長だったり、隣の部署の先輩だったり。

ビジネスは総力戦です。
だからもう、あらゆるものを総動員していいのです。
持ち込み可のテストだとわかっていたら、何を持ち込み、誰に質問すればより早く回答が得られるか。そういう視点で周囲の力をフル活用すればいいのです。
何ひとつ難しいことはありません。
ちょっとした心がけの違いで、成長と評価が得られるか、大きな違いが生じるのです。


出典:ダイヤモンド社 書籍オンライン Copyright © 2016 DIAMOND,Inc. All rights reserved.

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著者紹介

  • 岩瀬 大輔

    岩瀬 大輔

    ライフネット生命保険(株)代表取締役社長。1976年埼玉県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1998年卒業後、ボストン・コンサルティング・グループなどを経て米国に留学。2006年ハーバード経営大学院(HBS)を日本人4人目のベイカー・スカラー(成績上位5%表彰)として修了。帰国してライフネット生命保険設立に参画。

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