ビジネス書ランキング

2017.02.07

長時間労働、週休3日制検討、副業推奨。
「働きかた改革」の進む今、『生産性』をどう見つめなおすのか?

丸善とジュンク堂は、ビジネスパーソンや各界の専門家を主な利用者とする大手書店グループです。その購買データを分析すれば、ビジネスパーソンにとって「いま注目の本」が見つかるのではないか、というこの連載。今回は、12月の「経営学・経営戦略」分野に絞り、売れ筋のランキングとトレンドを読み解いてみました。

「経営学・経営戦略」売れ筋ランキング TOP10はこちら!

やり抜く力 GRIT

やり抜く力 GRIT

著者:アンジェラ・ダックワース(著)、神崎朗子(訳)
出版社:ダイヤモンド社 定価:1,728円

世界市場で勝つルールメイキング戦略

世界市場で勝つルールメイキング戦略

著者:國分俊史(編著)、福田峰之 (編著)、角南篤(編著)
出版社:朝日新聞出版 定価:2,160円

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

著者:伊賀泰代 出版社:ダイヤモンド社
定価:1,728円

鬼速PDCA

鬼速PDCA

著者:冨田和成 出版社:クロスメディア・パブリッシング
定価:1,598円

スタンフォードの心理学講義

スタンフォードの心理学講義

著者:ケリー・マクゴニガル 出版社:日経BP社
定価:1,728円

大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる

著者:高橋伸夫 出版社:KADOKAWA 定価:1,620円

チームを動かすファシリテーションのドリル

著者:山口博 出版社:扶桑社 定価:1,512円

ザ・会社改造

著者:三枝匡 出版社:日本経済新聞出版社 定価:1,944円

HARD THINGS

著者:ベン・ホロウィッツ(著)、滑川海彦(訳)、高橋信夫(訳)
出版社:日経BP社 定価:1,944円

採用基準

著者:伊賀泰代 出版社:ダイヤモンド社 定価:1,620円

「働きかた改革」の進む今、ランキング上位に来た『生産性』

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

著者:伊賀泰代
出版社:ダイヤモンド社
定価:1,728円

3位にランクインした注目の新刊は、『生産性』です。副題が「マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの」と書かれているように、元マッキンゼーの人材育成マネジャーが「生産性の上げ方」について記したのがこの本。

2016年は「働きかた改革」に注目が集まった年であり、その議論は、今も続いています。電通の長時間労働問題、ヤフー・ジャパンの週休3日制検討、ロート製薬の副業奨励など。大手企業もさまざまな問題点を抱え、模索をはじめているのが、まさに「生産性」というテーマです。

それだけに、注目を集めたのがこの本。いったいどんな内容なのか、少しだけ紹介しながら、その魅力を探ってみました。

「長時間労働」が問題なのではない。
「低い生産性の長時間労働」が問題なのだ

冒頭にもあげた「長時間労働」の問題。
多かれ少なかれ、どの職場にも起こっている問題かと思いますが、仕事が終らないそんな時には「人が足りない」とグチっていませんか。本書によれば、これは「労働力投入型の発想」です。人を増やすことは真の問題解決にはならず、生産性に目を向けることこそが本質なのです。

そもそも「生産性の向上」という言葉を聞いて、ホワイトカラーの職場でのイメージを抱ける人は、実は多くないようです。日本においての「生産性の向上」は、製造現場でなじみのある言葉でしょう。しかし生産性という言葉の意味は、「投入資源に対する成果」のこと。当然、製造現場以外でも意識され、管理されてしかるべきなのです。

あなたの職場では、プレゼンの資料や、営業や、広告宣伝が、「成果」で評価されているでしょうか。仮にそうだとして、では次に、「成果にかけた労力」まで管理しているでしょうか。以下に本文を引用します。

" 上司は部下に「資料はよくできている。すばらしい。ところでこれは、いったい何時間かけて作ったんだ?」と問うべきなのです。 "

(『生産性』(伊賀泰代、ダイヤモンド社)より。以下、引用箇所は同様)

こう考えると、「長時間労働」に対する目の向け方も変わってきます。本文にもありますが、「低い生産性の仕事を長時間、社員に課している企業」と「極めて高い生産性で朝から晩まで働き、圧倒的なスピードで世界を席捲してゆく企業」があるとき、前者は問題企業ですが、後者はイノベーティブな期待の企業なわけです。「長時間労働が問題」ときめつけてしまうと、問題の本質を見失いかねません。

あなたは「成長」できていますか

「もっと成長してほしい」、「この仕事をやれば、成長できる」などの言葉を聞いたことはありませんか。特に違和感なく聞き流していたかもしれませんが、ちょっと冷静になってみると「成長」って何のことでしょう。いったいどうしたら「成長」したことになるのでしょうか。

本書では、実に明快な定義をしています。曰く「労働者としての成長とは、人格的な向上ではなく生産性の向上である」と。そして生産性の向上には、4つの種類があると。

1. これまで何時間かかってもできなかったことができるようになる
2. 昨日まで時間がかかっていたことが、短時間でできるようになる(結果、余剰時間が増える)
3. その短時間で、はるかに高い成果が出せるようになる
4. 余剰時間によって、更なるチャレンジができるようになる


この1~4.のサイクルを重ねることが、生産性を向上させ、成長することになるのです。あなたは、そしてあなたの会社は、いったいどのフェーズにあるでしょうか。

自らが仕事をコントロールできる人、にこそ、おすすめの本

この本では、上述のような「概念」の「整理」が多々なされています。うっすらと理解したつもりになっているだけでは何を改善すればよいか分からないものですが、思考の整理をすることで、やるべきことも見えてくるものです。その意味では、この本は、新入社員をはじめ、すべての社会人にとって、一読の価値がある本でしょう。

一方で、自分自身にせよ職場にせよ、ある程度「仕事をコントロール」できる人、あるいはそのような意識で臨める人でないと、机上の空論のように感じてしまうことでしょう。そのため、経営層や個人事業主、主体的に仕事を行っている人ほど、この本を「有用だ」と思えるでしょうし、得られるものも多いはず。

これからますます、人工知能の進展や少子化の進行によって注目されるであろう「生産性」というテーマ。そのテーマに今から目を向けるために適した良書です。まだ手にとっていない方は、ぜひ。

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  • 生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

    生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

    著者:伊賀泰代
    出版社:ダイヤモンド社
    定価:1,728円

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