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2017.03.14

PMOという新ビジネスを作ったエバンジェリストが選ぶ、20代に読んでほしい3冊

高橋 信也(株式会社マネジメントソリューションズ代表取締役)

多くのシステム開発を成功させる上で、プロジェクトマネジャー(PM)の意思決定や業務をサポートするプロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)が果たす役割の大きさは、すでに十分に認知されている。だが、今から10年以上前にそのことに気付いていた日本人がどれだけいただろうか。高橋信也氏は、自身のPMとしての経験からその重要性にいち早く気付き、PMOのアウトソーシングサービスを提供する会社として2005年にマネジメントソリューションズを立ち上げた。

そんな高橋氏は、20代の10年間で1000冊を超える本を読み漁ったという。時代の潮流を読む目を養い、自分らしいキャリアを築くにはどんな読書が効果的なのか。「いま20代に読んでほしい3冊」を挙げてもらった。

PMOという新ビジネスを作ったエバンジェリストが選ぶ、20代に読んでほしい3冊

「温故知新」。歴史を知ることが未来を予見する視点を養う

ポスト資本主義社会

ポスト資本主義社会

著者:P.F.ドラッカー
出版社:ダイヤモンド社
定価:2,160円

1冊目は、ピーター・ドラッカーの『ポスト資本主義社会』です。今から20年以上前の、インターネットという言葉もまだ一般には浸透していない時代の本ですが、その後の情報化社会の進展と、そこでは「ナレッジワーカー」と呼ばれる、ナレッジを活用した職種が活躍することを言い当てています。私が社会人として最初に選んだ職種はコンサルタント、それもIT系の仕事だったわけですが、この本を読んで感銘を受けて、キャリアを固めたところがあります。

もちろん、今の20代が「予言書」として読むには古い内容かもしれません。ただ、20年前の見立てと、実際に現在がどうなっているかを見比べるようにして読むことは、これからの20年がどのように流れていくのか、人の仕事はどう変遷していくのかという視点を与えてくれると思います。例えば、「AIが人の仕事を奪う」と言われる時代に生き残るためには、20年前にナレッジワーカーと呼ばれていたレベルを超えなければならないのか、それともアンナレッジワーカーとでも呼ぶべき逆の方向に進む必要があるのか、と考えてみるのも面白いと思います。

経営者の役割 新訳

経営者の役割 新訳

著者:C.I.バーナード
出版社:ダイヤモンド社
定価:2,160円

2冊目は、チェスター・バーナードの『経営者の役割』です。組織のあり方、原理原則を論じた非常に難解な本ですが、もう何十年も読み継がれていて、毎年のように版を重ねています。組織には共通目的、協働意欲、コミュニケーションの3つの要素があり、そのどれか1つでも欠けたら組織は成り立たないということが書かれているのですが、これは現代においても通用する考え方だと思います。また、組織には組織図に示せるような公式組織とは別に、個人的な人間関係を意味する非公式組織としての側面もあり、その両方がないと組織は成立しないとも論じられています。

昭和史 上

昭和史 上

著者:中村 隆英
出版社:東洋経済新報社
定価:1,008円

私自身のキャリアにこの本に書かれた内容が役立ったのは、コンサルタントとして一人前になった20代も後半になってからでした。こうした抽象度の高い原理原則を説いた本を若いうちに読んでおくと、それがあとあとになって生きてくるものなのです。時間のある学生のうちに、頑張って難しい本にチャレンジするというのはアリだと思います。私は若いうちに読んだ本を全てリスト化し、寸評を書くことを習慣づけていました。そうして特に心に残った本についてはその後も手元に置いておいて、最近は電子化していつでも読めるようにしています。

昭和史 下

昭和史 下

著者:中村 隆英
出版社:東洋経済新報社
定価:1,008円

3冊目は、中村隆英さんの『昭和史(上・下)』です。他の著者の方のものでもいいのですが、特に戦前戦中戦後の歴史を理解しておくと、社会に出てから非常に役に立つと思います。例えば、東芝や電通の問題が最近クローズアップされていますが、こうした一流企業がなぜああなってしまうのか。それは、70年代の高度経済成長の中を生きた「モーレツ会社員」にとっては当たり前の働き方だったからです。つまり、歴史を知ることで、その企業がどうなってしまったかの背景が分かる。ニュースを深く読み解くことができるようになるということです。まさに「温故知新」ということですね。

20代はとにかく勉強。この時期のインプットが30代以降を決める

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上

著者: ユヴァル・ノア・ハラリ
出版社:河出書房新社
定価:2,052円

本の読み方には多読と精読の2通りがあると思います。多読の目的は情報収集です。私も情報収集のために斜め読みもするし、前半だけ読んで蛇足な後半部分は読み飛ばすこともあります。ただ、こうした多読の部分は最近はインターネットの記事でまかなえるようになってきています。この時代に本を読む意味を考えるなら、今すぐに必要な情報を得るためではなく、歴史や哲学や宗教といった重いテーマの本を時間をかけて読む、精読も必要でしょう。

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 下

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 下

著者: ユヴァル・ノア・ハラリ
出版社:河出書房新社
定価:2,052円

精読する時に重要なのは、書いてあることに自分の経験を照らし合わせて読むことです。あるいは書いてあることに批判的に読むといい。自分の経験に基づいて反論してみて、それでも納得できると思えば読み進めればいいのです。最近読んだ本でぜひオススメしたいのはユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史(上・下)』です。なぜ地球上でこれほどまでに強大な力を持ったのか、にもかかわらず自殺者がどんどん増えているように、なぜ人類は幸せであると言い切れないのかという、面白いテーマを扱った本です。そういうことを考えることが、自分のキャリアや立ち位置を考える上でも一つのきっかけになりますよね。これも、20代のうちに読んだ方がいい1冊なのではないかと思います。

20代はとにかく勉強。インプットを増やす時期だと思います。20代のうちは新しいものを受け入れる感受性がありますから。うちの若い社員にもよく言うんです。残業するより勉強するなり、人と会うなりして見聞を広めろ、と。先ほども言ったように、この時期の蓄積はあとあとになって生きてくる。逆にこの時期にルーチンワークだけこなしてインプットしていないと、30代になった時に蓄積がないから伸びないんです。多くの若い人を見てきて、そのことには確信があります。選り好みせずに、何でも経験だと思って吸収していく姿勢が大切だと思います。

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推薦者紹介

  • 高橋 信也(株式会社マネジメントソリューションズ代表取締役)の写真

    高橋 信也(株式会社マネジメントソリューションズ代表取締役)

    1999年よりキャップジェミニ(現・クニエ)のコンサルタント及びマネジャーとして 経営管理・業績管理のコンサルティングプロジェクトに携わる。
    2003年に大手メーカー系列のシステム会社に転職し、当時の最年少プロジェクトマネジャーとなる。PMOリードとして、グローバルシステムの開発プロジェクトなどを担当。
    2005年6月に独立し、現職に就任。

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    ポスト資本主義社会

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    出版社:ダイヤモンド社
    定価:2,160円

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    著者:中村 隆英
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    出版社:東洋経済新報社
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    著者: ユヴァル・ノア・ハラリ
    出版社:河出書房新社
    定価:2,052円

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