著者インタビュー

2017.08.02

ソフトバンク孫社長から学んだ仕事術。元・社長室長が明かす、成功する人がやっているコトとは!?

三木雄信(元ソフトバンク社長室長、現ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト代表)

ゼロから創業したソフトバンクを、8兆円企業に急成長させた孫正義社長。なぜ孫社長は、驚異的なスピードで成果を出し続けているのかーー。そこでソフトバンクの社長室長として活躍し、孫社長を一番間近で見てきた三木雄信さんに、「成功する人がやっている仕事術」をテーマにインタビュー。「頑張って働いているのに、なかなか成果がでない」という多くのビジネスパーソンが直面する悩みに対し、ご自身のご経験も交えながら、お話いただきました。

三木雄信(元ソフトバンク社長室長、現ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト代表)

孫社長は高校のOB。弟の孫泰蔵氏やホリエモンは同級生

―― 三木さんは、高校生の頃から孫社長のことを知っていたのだとか?

三木雄信(以下、三木) 実は、孫社長は高校のOBなんですよ。偶然にも孫社長の弟である泰蔵さんや、ホリエモンも高校の同級生でした。その頃から孫社長のことは校内でも知られていて、私も経営者への憧れを感じていました。後にガンホーで起業した泰蔵さんや、元ライブドアのホリエモンも、その影響を受けていたんじゃないですかね。

大学卒業後は、まずはサラリーマンをやってみようと三菱地所に入社。様々なプロジェクトを任せてもらい、楽しく仕事をさせていただいたのですが、このまま大企業に勤めていても、経営者になる道は遠いのではないかと感じました。そこで泰蔵さんに相談した所、「孫社長に会ってみれば?」と提案されました。

数日後、孫社長にお会いしたところ「三木君、300年続く会社を作るためには、何が必要だと思う?」と尋ねられました。私はその頃、進化論の本を読んでいて、虫は様々な種類がいるから長く繁栄しているという内容を読んでいたので、「多様性が必要です。」と答えました。すると「そうなんだよ!」といきなり立ち上がり「人事部長を呼べ。今すぐ入社手続きをするんだ!」と。それがソフトバンクに入社したキッカケです。

その後入社してしばらく経った頃、孫社長に「三木君、人を採用する時のコツを知っているか?」と聞かれたことがありました。「分からないですね、何ですか?」と尋ねたら「考えさせないことだよ」と。私はその手法で、採用されたようです(笑)。

朝から晩まで、孫社長と一緒に過ごした日々

―― ソフトバンクに入社されてから、どんな仕事をされたのですか?

三木 1998年にソフトバンクに入社し、最初は孫社長の鞄持ちのような仕事から始めました。朝7時の朝食ミーティングから深夜のミーティングまで、孫社長とずっと一緒にいて、すべての議事録をとり、「これは誰々に連絡をとっておけ」と言われたら各所とやりとりをするのが私の仕事でした。その頃は夜遅くまで働きましたね。ミーティングはだいたい夜の22時ぐらいまであったのですが、「明日までに今日話した内容を資料にまとめておけ」と言われるので、そこから残業して深夜帰りは当たり前でした。

またソフトバンクは、常に複数のプロジェクトをものすごいスピードで動かしているので「どうしても今日中に、社長稟議を取らなければならない」という人達が順番待ちをしています。しかし孫社長が多忙なため、打ち合わせからトイレに出てきた瞬間に捕まえて、その数十秒の間に案件の説明をし、説得できなければアウトという世界。そのため稟議を取るためだけに、数時間待つ人なんてザラなんですよね。あまりにも多くの人達が困っていたので、「私が代わりに内容をお聞きして、孫社長の隙間時間に確認しておきますよ」と、すべての案件を私の方で引き受けるようになっていきました。

仕事がデキる人を分析しマネすることは、成功の近道

三木 すべての稟議に私が目を通し、孫社長に最終的にチェックしてもらうということを繰り返していたら、「孫社長だったら、どう答えるか」が次第に分かるようになっていきました。これは後にすごく役に立ちました。私はソフトバンク時代、社外取締役を7社やっていたのですが、どの事業もうまくいったのです。

仕事がデキる人が物事をどう捉えるのか分析し、同じようにやっていくことは、成功の近道だと思います。以前、営業成績が最下位でクビになりそうだった後輩の相談にのったことがあります。その際「成績がいい人がやっていることを分析し、同じようにやれ!」とアドバイスした所、最下位からトップ3に入る成績になったそうです。

また大事な決断をする際も、仕事がデキる人を思い浮かべて「あの人だったら、こういうシチュエーションの時、どういう行動をとるだろう?」と考えるといい。なぜかというと、人間は自分の頭で考えると「私にはこんなことできる訳がない」と自然とマインドブロックをかけてしまう。それをぶち壊すのに非常にいい方法というのが、誰かになりきること、でもあるんですよ。

もし「なかなか結果がでない」と悩んでいる方がいたら、ある程度結果を出している人を分析しマネしてみることをオススメします。

仕事がデキる人を分析しマネすることは、成功の近道 三木雄信(元ソフトバンク社長室長、現ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト代表)

多くの人間が、目標を達成できないワケ

―― 孫社長と働いていて、印象的だったエピソードはありますか?

三木 社長室で働いていた時、孫社長からよく”謎の質問”をされることがありました。ある日も「三木君、なぜ多くの人間は、目標を達成できずに人生を終えてしまうか分かるか?」と質問されました。私が答えられないでいると、孫社長はいきなりホワイトボードに山の絵を書き出して、こう言いました。「普通の人間は、山のこの辺りをグルグル回って、大して登らずに一生を終えるんだ。でも登る山を決めたら、登頂するための計画を立ててその通りに動けば、ゴールにたどり着くんや!」と。孫社長は高校生の時に20代ではこれをする、30代ではあれをする、40代では…と人生50年計画を立てて、今の所その通りに進んでいるそうです。

またソフトバンクでは「何月何日に新サービスを発売する」と先に発表してから、そこに向けて準備を始めるんですよ。孫社長がゴールを決めてしまうから、みんな迷いなく走れる。目標を達成するためには「最初にゴールを決めて、逆算して動く」。これはすべての事に対して言える、成功法則ですね。

早く失敗すると、早く正解に辿り着ける

三木 また、目標を達成するためには「PDCA(Plan、Do、Check、Action)を回せ」って言うと思うんですが、でもね、本当のことを言うと、違うんですよ。ソフトバンクでは、まず複数の施策を次から次へと試すんですよね。その後数値を見て、成功している施策だけを残して、失敗している施策を足切りするなど、計画を立てるんです。実はPlanはそんなに重要じゃなくて、Doを数多くするというのが、一番最初のスタートなんですよね。だからPDCAというより、DCPAかもしれません。

また孫社長は「たくさん失敗したとしても、それは勝つ仕組みだからいいんだよ。」と言うんです。例えばソフトバンクでADSL事業をやった時も、最初の4年は赤字続きでした。ところがその4年間、試行錯誤を繰り返していったら、5年目には数百億の利益を出し始めたんです。失敗することって悪いことだと思われがちですが、早くたくさん失敗すると、それだけ早く正解に辿り着くから、逆にとってもいいことなんですよ。失敗は情報の探索コストなんです。

すこぶる早い!孫社長のスピード仕事術

―― 孫社長は一代でビジネスを急成長させています。一流の人が実践している、仕事が加速するための考え方や行動などがあれば、教えてください。

三木 ソフトバンクでは「検討中です」という言葉は許されませんでした。そのようなことを言おうものなら、孫社長に「お前はずっと考えているのか!10秒考えれば何でも答えは出るんだよ」と怒られるんです。孫社長曰く「答えが出せないのは、決定の権限がないか、情報が足りないから。それらを取ってくれば、結果はすぐ出るだろう」ということなんです。だからソフトバンクの会議には、権限と情報がある人を全員集めます。そして「検討中です」とか「あとで部下に確認してみます」という発言をするのは許されないので、皆その場で電話をして確認するんですよ。例え電話先の相手が海外出張でも、確認しないと大変なことになる。そんな風に会議をしているので、物事が決まるのはものすごく早かったですね。

それと孫社長のすごい所は、専門家を集めて急速に勉強して知識を吸収すること。例えば、新たに投資の戦略を考えようとなったら、「財務を呼べ、経理を呼べ、法務を呼べ、外部の投資銀行を呼べ」と言って、専門家を集めてしまう。そして彼らのノウハウを、パッと掴んじゃうんですよね。もう、モノマネ怪人ですよ。そうやって必要な人を集めて、効率的に勉強も会議もしちゃうので、仕事が早いんですよね。

すこぶる早い!孫社長のスピード仕事術 三木雄信(元ソフトバンク社長室長、現ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト代表)

1割でいいから、新しいことにチャレンジしよう

―― 最後に、この記事を読んでいるビジネスパーソンに向けて、メッセージをお願いします。

三木 今の日本というのは、非常に行き詰まったような空気が流れていると思うんです。昔は失敗してもどんどん挑戦していこうという寛容な雰囲気があったけれど、今はできるだけ失敗しないようにという閉塞感がある。でも適切にリスクをとって、その中で新しい成功事例を探していかないと、日本の成長は鈍化していってしまいます。

できればソフトバンクのように、挑戦を歓迎し失敗を許容する、組織の仕組みができればベストですが、会社によってはトップが保守的で、なかなかリスクをとってチャレンジしにくい、ということもあるかもしれません。そういう場合は、1割でいいから新しいことに挑戦してほしい。これまでと全部変えるのはリスクが大きいけれど、1割だったら社内を通せるかもしれないですから。ぜひ小さな一歩でいいので、新しいことにチャレンジしてほしいと思います。その一歩が、これからの日本の成長に繋がっていくのではないでしょうか。

※こちらの記事は『ホンシェルジュ』の提供コンテンツです。元記事はこちら。

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著者紹介

  • 三木雄信 (元ソフトバンク社長室長、現ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト代表)

    三木雄信 (元ソフトバンク社長室長、現ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト代表)

    東京大学経済学部卒業後、三菱地所を経てソフトバンクに入社。元ソフトバンク社長室長。マイクロソフトとのジョイントベンチャーや、ナスダック・ジャパン、日本債券信用銀行買収、およびソフトバンクの通信事業参入のベースとなったブロードバンド事業のプロジェクトマネージャーを務める。

    現在は、1年で"使える英語"をマスターする「One Year English プログラム」"TORAIZ"を運営するラーニング・テクノロジー企業 トライオン株式会社代表取締役。

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